ウォーカー(16勝1敗、UFC5勝1敗)は、アメリカのトーマス・ピーターセン(11勝5敗、UFC3勝4敗)と対戦。試合開始から得意のヒールフックを狙ったが、ピーターセンが巧みに防御。しかしウォーカーはそこで動じず、瞬時にカーフスライサー(相手の脛骨に自分の腓腹筋を押し付ける圧迫技)に移行。ピーターセンは即座にタップアウトした。
この決着はUFC史上4例目という極めて珍しいもの。その珍しさに、複数のメディアが「3例しかなかった」と報じたほどだ。このパフォーマンスにより、ウォーカーは10万ドル(約1500万円)の「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」ボーナスも獲得している。
この勝利でウォーカーは、自身の記録をさらに延ばす重要な一歩を踏み出した。
特筆すべきは、この5連続一本勝ちの全てが1ラウンドでのレッグロック(足関節技) であることだ。
4戦連続で同じヒールフックで仕留めてきたウォーカーだが、ピーターセン戦では初めて異なる技でフィニッシュ。これにより「ワンパターンではない」という適応力も証明した。「またヒールフックで勝つ」と予告していたが、相手の反応を見て即座に戦術を変更できる技術の高さを示した。
試合後のオクタゴンインタビューで、元2階級制覇王者ダニエル・コーミエを前に、ウォーカーは観客を爆笑させるコメントを残した。それは、ブラジルの英雄アレックス・ペレイラが、2026年6月14日のUFCフリーダム250でシリル・ゲインに敗れた試合の判定を巡る騒動をからかったものだ。
ウォーカーは、「(シリル・ゲインの)後頭部を殴ってやりたい……奴は我らが“ポアタン”(ペレイラの愛称)からオーラを奪ったんだ。チャマ!(行くぞ!)」 と叫び、ペレイラが試合中にゲインの打撃が後頭部に入ったと主張した問題を引き合いに出した。さらに別の場では、審判のハーブ・ディーンがペレイラから「オーラ」を奪ったと冗談めかして非難したと報じられている。
ペレイラはこの試合で、審判のハーブ・ディーンがゲインによる後頭部への違反打撃を止めなかったと激怒。ディーン審判の引退を要求する事態にまで発展しており、ウォーカーの発言はその余韻が冷めやらないMMAコミュニティで大きな話題となった。
ウォーカーは試合前から、現在の契約条件に不満を示し、再交渉を求めると公言していた。
試合前の時点で、ウォーカーはメタUFCヘビー級ランキング11位。この勝利でトップ10入りも視野に入るが、ウォーカーは「適正な評価を受けなければ、相手が誰であろうと受けない」と強い姿勢を示している。
ウォーカーの快進撃は、ヘビー級戦線に新たな風を吹き込んでいる。5連勝で全て1Rフィニッシュ、しかも全てが関節技。現在のUFCで最も危険なグラップラーの一人であることを証明した。
試合後、笑いを交えながらも真剣に暫定王者シリル・ゲインを名指ししたことは、タイトル挑戦への強い野望を示している。折しも、レギュレーションの問題や審判の判定手法が議論される中、ウォーカーの芸術的なまでのサブミッション技術は、新たな時代の到来を予感させる。
彼の要求する契約条件がどう転ぶか、そしてUFCがこの新しい才能をどのようにランキングに組み込むかが、今後のヘビー級戦線の行方を大きく左右することになる。