Instinct MI400ファミリーは、CDNA 5アーキテクチャを採用したAMD初の世代であり、コンピュートチップレットはTSMCの2nm N2ノード、I/OダイはN3Pで製造される。3つのバリエーションが用意される。
顧客への出荷は2026年下半期から開始される。MI450はAMDのGPUとして初めて400GBを超えるメモリを搭載し、NVIDIAの同等プラットフォーム「Vera Rubin」(288 GB HBM4)に対して50%多いメモリ容量という優位性を持つ。
AMDは、Instinct MI45X GPU、EPYC「Venice」CPU、そしてInfinity Fabricスケールアップを備えたPensandoネットワーキングを統合した、初の完全統合型AIラックシステム 「Helios」 を発表した。主な仕様は以下の通り。
Heliosラックは、1つの巨大なAIコンピュータとして機能するように設計されており、NVIDIAのNVL72ラックシステムと直接競合する。
OpenAI — 2025年10月に締結され、今回のカンファレンスで改めて強調されたもの。AMD Instinct GPUを導入する6ギガワット、複数世代にわたる契約。最初の1ギガワット分のMI450シリーズGPUは2026年下半期から導入開始。アナリストはGPU収益部分を約800億ドルと試算している。
Meta — 2026年2月に発表。最大5年間で600億ドル相当、最大6ギガワットのAIコンピューティング容量を供給する契約。MetaはAMD株式の最大10%を取得するオプションを得る。Piper Sandlerは、これにより5年間で約1000億ドルの収益が追加される可能性があると試算した。Metaはイベントで、2026年下半期からHeliosの導入を計画していることを確認した。
Anthropic — カンファレンスで署名。AMDはAnthropicに最大50億ドルを出資、Anthropicは2ギガワット分のMI450ベースHeliosシステムを導入する(最初の1ギガワットは2027年前半)。調達契約の総額は数百億ドル規模とされる。また、AMDはエンジニアリングチーム全体でAnthropicのClaude AIを活用する。
その他、ステージ上ではxAIやOracleが登場し、MicrosoftもHeliosの初期顧客として名を連ねた。
AMDの中心的なメッセージは、もはや個々のGPUスペックでNVIDIAを追いかけるだけではなく、システムレベルの性能で競争するというものだ。
「Advancing AI 2026」は、AMDがAI半導体市場において「第2の選択肢」から「真の競争相手」へと飛躍するための、極めて重要なイベントとなった。個別GPUの性能だけでなく、システム全体の最適化(Heliosラック)と、主要顧客との長期的かつ大規模な契約を武器に、同社はNVIDIA一強の市場構造に風穴を開けようとしている。特に、NVIDIAの強固なソフトウェアエコシステム(CUDA)に対抗するAMDのROCmが、本格的な普及の兆しを見せ始めたことは、今後の市場勢力図を大きく変える可能性を秘めている。2026年後半からのMI450出荷と、それに続く2027年のMI500シリーズによって、AMD・NVIDIA間の競争はさらに激化することが予想される。