コンテナ船の輸送コストは、ホルムズ海峡の混乱と連動して急騰している。ドリューリーのワールド・コンテナ・インデックス(WCI)は、2026年7月9日時点で前週比2%上昇し、1基(40フィートコンテナ)あたり4,639ドルとなり、2024年9月以来の高値を記録した。この上昇は主にアジア‐ヨーロッパ航路が牽引している。
注記: アジアから米国西海岸向けのスポット運賃が120%急騰した、東海岸向けが85%上昇したといった具体的な数値については、今回の調査で確認できたソースはなかった。越太平洋航路の運賃が強い水準にあったことは確認できるが、これらの数値については一次ソースによる裏付けが必要である。
2026年7月22日、フランスの海運大手CMA CGMは、ホルムズ海峡における敵対行為の再燃を受け、1コンテナあたり65ドルから165ドルの緊急燃料サーチャージを2026年8月1日から適用すると発表した。このサーチャージは、さらなる通知があるまで継続される
。
CMA CGM自身の顧客向け通知(Advisory #12)によると、長距離航路の往航(ヘッドホール)では、ドライコンテナで1TEUあたり150ドル、冷蔵(リーファー)コンテナで165ドルが課される。復航(バックホール)では、ドライが75ドル/TEU、リーファーが90ドル/TEUとなっている
。
この措置の引き金となったのは、バンカー(船舶用燃料)価格の急反発である。超低硫黄燃料油(VLSFO)の価格は、フジャイラ(UAE)とLA/ロングビーチで1トンあたり800ドル超に達し、シンガポールでは約785ドル、ヒューストンでも700ドルを超えた。また、舶用ガスオイル(MGO)の価格は、フジャイラとLA/ロングビーチで1トンあたり1,370ドルを超えている
。
より広範な貿易統計を見ると、経済が大きな価格圧力の下で運営されている実態が浮き彫りになる。UNCTADの「世界貿易最新情報(2026年7/8月号)」によれば、2026年上半期の世界物品貿易額は約13.7兆ドルと推定され、2025年同期比で12.5%増加した。サービス貿易は10.5%増加し、物品とサービスの合計では世界貿易に約2兆ドルが追加され、年間ベースで過去最高額を更新するペースにある
。
しかしUNCTADは、この拡大は「一部、より高い価格に支えられた」ものであり、純粋な物理的な数量の増加ではないと指摘している。また、世界銀行も別の報告書で、世界貿易額は2026年初頭も上昇を続けているものの、その増加は部分的に価格主導であると警告している
。国連の「World Economic Situation and Prospects 2026」では、2026年の世界経済成長率は2.7% に減速し、2025年の水準およびパンデミック前の平均を下回る見通しが示されている
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ホルムズ海峡危機による海上運賃の高騰は、供給主導型(コストプッシュ型)のショックの典型例である。バンカー燃料価格の高騰が輸送コストに直撃し、それが消費者物価に波及する。この構図は、中央銀行にとってスタグフレーション的なジレンマを生み出す。すなわち、物価上昇を抑えるために利上げをすれば、需要と成長をさらに減退させることになりかねないが、何もしなければインフレ期待の定着を招くリスクがある。
このメカニズムはマクロ経済理論で確立されたものであり、今回の危機からのエビデンスによって強く裏付けられている。ただし、今回の調査では、ホルムズ海峡に関連したインフレに言及した特定の中央銀行の声明は確認できなかった。
ホルムズ海峡封鎖によって引き起こされた海上運賃の高騰は、一時的なものではない。船舶通行量が危機前の水準を大きく下回り、コンテナ運賃が数年ぶりの高値となり、影響を受ける航路の全コンテナに緊急サーチャージが適用される中、コスト圧力は世界のサプライチェーンに直接的に波及している。中央銀行は、クリーンな解決策がないジレンマに直面しており、その影響は、あらゆる商品の棚に値札として現れることになるだろう。