マスクCEOは以前、AI6はAI5と比較して「真の2倍の性能」を実現すると述べています。AI5(2026年半ばに生産開始予定)自体が、現行のAI4から大幅な進化を遂げていることは、比較の前提として重要です。
| 指標 | AI4(現行) | AI5 | AI6 |
|---|---|---|---|
| 計算能力(AI4比) | 1倍(基準) | 約8倍 | AI5の約2倍(AI4比で約16倍) |
| メモリ容量(AI4比) | 1倍(基準) | 約9倍 | さらに向上 |
| 帯域幅(AI4比) | 1倍(基準) | 約5倍 | さらに向上 |
| 電力効率(AI4比) | 1倍(基準) | 約3倍 | さらに改善 |
出典:AI5の仕様は複数の詳細レポートに基づく。AI6はAI5の2倍の性能と説明されている。
さらにマスクCEOは、AI6は半導体ウェハー1枚あたりから得られる「有用な知能(usable intelligence)」の量で記録を更新する可能性があると主張。テスラは単なる計算能力の向上だけでなく、製造効率と組み合わせた最適化を重視していると述べました。
重要な注意点: これらの性能に関する主張は、マスクCEOが過去にソーシャルメディア等で述べたものであり、独立した第三者による検証済みのベンチマークではありません。Q2決算説明会においても、これらの主張が繰り返されましたが、新たな詳細な仕様は示されていません。
AI6はサムスン電子が米国テキサス州テイラーに新設する工場で製造され、その契約は8年間・165億ドル(約2兆6400億円) 規模です。マスクCEOはX(旧Twitter)上で、「サムスンの巨大なテキサス新工場は、テスラのAI6チップ製造に特化する」と述べ、この提携を確認しています。チップはサムスンの2nmプロセスで製造される見込みです。
スケジュールは依然として流動的であり、最大のリスク要因はサムスンの2nmプロセス製造の遅れです。
AI6は、テスラの全AIワークロードに対応できるスケーラブルなアーキテクチャとして設計されています。
マスクCEOはこれを「ロボットからAIデータセンターまで」をカバーする単一のチップ設計によるプラットフォーム戦略と位置づけています。
テスラは、売上高282億4000万ドル(前期比26%増) と、ウォール街の予想255億5000万ドルを10.5%上回る過去最高のQ2決算を発表しました。しかし、収益性は圧迫されました。
| 指標 | Q2 2026実績 | 市場予想・前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 282億4000万ドル | 予想(255億5000万ドル)を上回る、前年同期比+26% |
| 調整後1株利益(EPS) | 0.33ドル | 予想(0.49ドル)を下回る |
| 営業利益 | 3億9800万ドル | 前年同期比-57% |
| フリーキャッシュフロー(FCF) | マイナス | 設備投資の増加が主因 |
| 納車台数 | 48万126台 | Q2として過去最高、前年同期比+25% |
出典:
利益が圧迫された主因は、巨額の設備投資です。経営陣は、2026年通年の設備投資が 250億ドル(約4兆円)を超える との見通しを示しました。これはテスラ史上最大の投資額となります。投資は主に、AIインフラ、半導体製造能力、新型チップ製造施設「Terafab」(立地は未発表)、Megapack 3、バッテリーおよび電極材精製所、Optimusの生産ラインなどに集中しています。
この巨額のAI投資と利益率低下の組み合わせにより、発表翌日の株価は12%以上下落し、時価総額は1400億ドル以上が消失しました。
AI6の発表は、テスラのより広範な戦略的転換の中で行われました。すなわち、車両、ロボット、データセンター向けに垂直統合型のAI半導体を構築するため、2026年に250億ドル超という積極的な設備投資を行うというものです。AI6はAI5の2倍の性能を持つプラットフォームチップとして位置づけられ、サムスンのテキサス工場で2nmプロセスにより製造されます。しかし、サムスンのプロセス遅延によるスケジュールリスクに直面しており、大量生産が始まるのは早くとも2027年後半になる見込みです。財務面では、過去最高の売上高を記録した一方でフリーキャッシュフローはマイナスとなり、投資家は長期的なAIインフラ構築のために短期的な負担を受け入れている状況が浮き彫りになりました。