最も顕著なAIシグナルは、AI・クラウド顧客向け売上高が前年同期比で2倍以上に拡大し、4億4600万ユーロに達したことだ 。データセンターネットワーク事業では、四半期中に28億ユーロの新規受注を獲得し、向こう複数四半期にわたる需要の持続的な強さを示している 。
Nokiaはこの勢いを背景に、2026年通期の業績見通しを上方修正し、成長が今年後半も継続するとの確信を表明した 。主な原動力は以下の通り。
これら4社はすべて同じAIインフラ需要拡大の波に乗っているが、それぞれが担う役割(スタック上のレイヤー)が異なる。
Alphabet(グーグル) は**「ハイパースケーラー需要面」** を代表する。AIワークロードを実行するデータセンターに数百億ドルを投じるエンドユーザーそのものだ。Google Cloudの売上高は82%増の248億ドルに急拡大し、同社は2026年通年の設備投資(CAPEX)見通しを最大2050億ドルに引き上げた 。
TSMC(台湾積体電路製造) は**「ファウンドリ(受託生産)のボトルネック」** だ。Nvidia(エヌビディア)のAIアクセラレーターを大量生産できるほぼ唯一の存在。Q2の売上高は過去最高の402億ドル(前年比36%増)、純利益は77%増の7066億台湾ドルとなり、米国アリゾナ州への追加投資1000億ドルを表明した 。
ASML(エーエスエムエル) は**「イネーブラーのイネーブラー」** である。最先端AIチップの製造に不可欠な極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置を独占的に供給する。2026年の売上高見通しを430〜450億ユーロに引き上げ、2027年と2028年にそれぞれ30%の生産能力拡大を計画する 。
Nokia は**「ネットワークインフラ」** を提供する立場だ。データセンター間を接続する光伝送装置、IPルーティング機器、固定アクセス機器などを手がける。従来の通信事業者向け通信機器サプライヤーから、AIデータセンター向けネットワーク機器ベンダーへと変貌を遂げつつあることが、AI・クラウド売上の倍増と業績予想の上方修正につながった 。
Nokiaの売上高成長率(8.3%)はTSMC(36%)やAlphabet(24%)と比べると控えめだが、AI・クラウドセグメントの前年比成長率(+100%)は他のどの企業にも劣らない急激さだ 。Nokiaは事実上、横ばいから縮小傾向にある通信市場から、超成長分野であるデータセンター市場へと軸足を移している。TSMCやASMLはすでにAI半導体需要に特化した「純粋」な企業だが、Nokiaはその変革途上にある。だからこそ、今回の利益上振れと業績予想の上方修正は市場により大きな意味を持って受け止められた。
なお、Alphabetの株価は好決算にもかかわらず時間外取引で約3%下落した。1950〜2050億ドルというCAPEX計画が、AIへの過剰投資が期待するリターンを生むのかというウォール街の懸念を強めたためだ 。この「証明してみせろ」というリスクは、Nokia、TSMC、ASMLにとっては相対的に小さい。彼らはハイパースケーラーの投資収益率(ROI)がすぐに実現するかどうかにかかわらず、「つるはしとシャベル」(インフラそのもの)を販売する立場にあるからだ。