そして7月5日(日曜日)、FIFAはバログンに対する1試合出場停止処分の執行を猶予すると発表。これによりバログンはベルギー戦に出場可能となりました。レッドカードそのものは技術的に有効のままですが、処分は1年間の猶予期間付きで先送りされた形です。
FIFAはこの決定の正当性を主張するため、FIFA規律規則(FDC)第27条を根拠として挙げました。公式声明では、「FDC第27条の運用により、自動的な出場停止の執行は1年間の猶予期間付きで停止される」と説明されています。この決定はFIFA上訴委員会によって下されました
。
第27条は、制裁の執行を猶予するための規定であり、いわば「保護観察付きの執行猶予」のようなもの。制裁自体は有効ですが、猶予期間中に取り消されない限り、選手は即座に処分を受ける必要はありません。この条項は通常、減軽事情や特定の条件が適用されるケースで用いられます。FIFAは自らの規律機関が「独立して」運営されていると繰り返し主張しており
、インファンティーノ会長も後に、トランプ大統領に対して「規律手続きは自分(会長)のオフィスとは別物だ」と伝えたと述べています
。
最も重大な展開は、処分撤回から2日後の7月7日(火曜日)に起こりました。**欧州議会の複数議員(MEP)**が連名で、インファンティーノ会長とFIFAに対する調査を求めるイニシアチブを立ち上げたのです。
欧州のサッカー関係団体は即座に強く反発しました。
UEFA(欧州サッカー連盟) はFIFAの決定を非難する強硬な声明を発表。外部からの政治的干渉という前例を厳しく批判し、この決定を「理解不可能で正当化できない」「レッドライン(越えてはならない一線)を越えた」と断じました。
ベルギーサッカー協会(RBFA) は、決定に対する文書による理由説明をいまだに受け取っていないと表明し、FIFAの決定は**「FIFA規則違反」**だと非難。RBFAは控訴や法的措置を含む「あらゆる選択肢」を検討しているとしました
。
この一件はスポーツ紛争の域を超え、大西洋をはさんだ政治的な火種に発展しています。
米国代表は7月6日(月曜日)の決勝トーナメント1回戦でベルギーに1-4で敗れ、結果的には処分停止問題は競技上の意味を失いましたが、政治的な余波は収まる気配を見せていません。RBFAからの説明要求はFIFAにより7月6日付で「却下」されています
。
現時点で、MEP主導の調査はまだ書簡回覧段階にあります。核心的な疑問は未だ答えが出ていません。あの電話はFIFA上訴委員会の決定に直接影響を与えたのか?ベルギーにはなぜ正式な説明が一切なかったのか?そしてFIFAの規律プロセスは今後、スポーツ上の根拠ではなく、政治的な根拠で機能するのか?