| 企業 | シェア | 搭載量(GWh) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| CATL | 40.1% | 141.4 GWh | +19.8% |
| BYD | 14.2% | 50.0 GWh | ▲2.4%(シェアは約16.2%から低下) |
| LGエネルギーソリューション | 9.1% | 32.0 GWh | +8.3%もシェアは低下傾向 |
| SKオン | 3.5% | 12.3 GWh | シェア低下 |
| パナソニック | 3.4% | 12.0 GWh | 横ばい~低下傾向 |
市場構造を大きく変えたのは、中国と韓国の間に生まれた圧倒的なコスト差です。SNEリサーチの分析によると、中国製の角形LFP(リン酸鉄リチウム)電池セルは2025年時点で1kWhあたり約52.1ドルで販売されている一方、韓国製の三元系NCM(ニッケル・コバルト・マンガン)電池は同約90ドルでした。中国製LFPは韓国製NCMに比べて80~90%のコスト競争力を持っていることになります。
この価格優位性により、中国企業は世界中で競合を値下げで圧倒しています。中創新航(CALB)のような中堅中国メーカーは、中国国外市場で3桁の成長率を記録しました。CATLに至っては、中国国外での搭載量が前年同期比36.0%増の54.9GWhに達し、中国国外市場でのシェアは33.8%にまで上昇しています
。
アメリカは2026年、中国製の蓄電池(ESS)に対して78% の関税を課しており、これにより米国内で生産する韓国製電池は17%のコスト優位を得ています。しかし、この関税による保護効果は限定的です。韓国勢の中には、米ミシガン州のLGエネルギーソリューション工場のようにEV電池ラインの一部を蓄電池生産に切り替える動きも見られますが
、中国のスケールメリットに対抗できずにいます。
韓国3社(LGエネルギーソリューション、SKオン、サムスンSDI)の世界シェアは、2021年の約30.4% から2026年第1四半期には約12% へと急落しました。2026年初めには、3社全てが米国のEV需要の低迷と中国の価格攻勢を理由に前年同月比で出荷量の減少を報告しています
。
状況は深刻で、韓国の金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官は3社の経営トップと会談し、現在の3社体制の維持が可能かどうか真剣に検討するよう求めたと報じられています。実際に各社は希望退職の実施、数兆ウォン規模の資産売却、大規模な社債発行による財務体質の改善に乗り出しています
。
一方、日本のパナソニックは1~4月で3.4%(12.0GWh)のシェアを維持していますが、ほぼ横ばいの状態が続いています。成長率トップ10には日本の企業はランクインしておらず、中国や韓国の勢いに押される形で存在感は薄れつつあります
。
中国のCATLは、世界最大となる60GWhのナトリウムイオン電池の受注を獲得し、2026年第4四半期からの量産開始を発表しています。ナトリウムイオン電池はLFP比で35~40%のコスト削減が見込まれており、中国のコスト競争力をさらに押し上げる可能性があります。
世界のEV電池市場は今、「安さと規模で突き進む中国勢」と「価格差・政策リスク・戦略の不透明さに苦しむ韓国・日本勢」という二層構造に明確に分かれつつあります。