| カテゴリー | 2026年6月 前年同月比 | 主な要因 |
|---|---|---|
| 運輸 | +5.29%(5月の+12.48%、第1四半期の+12.85%から急激に鈍化) | 米・イランの外交進展を受け世界燃料価格が緩和。国内ガソリン価格は月間10.05%、軽油は10.63%下落 |
| 食料・飲食サービス | +4.89%(5月の5.03%からやや低下) | 供給サイドの圧力が持続。特に旧正月(テト)期に豚肉価格が8.49%急騰。外食費は前年同月比8.39%上昇と高止まり |
| 住宅・建設資材 | +7.17%(5月の8.19%から鈍化) | 光熱費、家賃、資材価格が高止まり。このグループが総合CPIへの寄与度で最大 |
| 文化・娯楽・観光 | +0.66%(推定) | 夏季の旅行需要が価格を押し上げ。年初5カ月間の観光サービス収入は前年同月比15.4%増 |
注:運輸の月間4.85%下落は、統計総局の7月3日発表を引用するベトナム語ソースによる。運輸の年率インフレは第1四半期のピーク12.85%から6月には5.29%へ急激に鈍化したことが確認されている。
食料・飲食サービスは6月に前年同月比4.89%上昇し、5月の5.03%からやや低下した。2月のピーク5.28%からは低下しているものの、外食や必需食品の価格は総合CPIへの主要な貢献要因であり続けている。特に外食サブグループは前年同月比8.39%の急上昇を示しており、限定的な供給回復と持続的に高い消費者需要を反映している。政治的にも敏感な豚肉価格は、テト期間中に供給不足から8.49%も跳ね上がった。
インフレは初期予測を一貫して上回っている。 年初のエコノミストや国家統計局による予測では、平均CPIは3.3%〜3.5%程度と見込まれていた。しかし、イラン紛争に端を発したエネルギーショックにより上半期平均は4.38%に達した。ベトナム国家銀行は2026年のインフレ目標を4.5%に維持しているが、第2四半期のGDP成長率が前年同期比8.39%(上半期で8.18%)に加速したことで、そのジレンマは一層深刻化している。
圧力を強めているのが貿易赤字だ。ベトナムは上半期に過去最大の166.5億ドルの貿易赤字を記録(前年同期は79.5億ドルの黒字)。これは、輸入燃料に大幅に高い価格を支払った結果であり、原油輸入は数量で14.2%減少したものの金額では17.7%増加、精製燃料輸入は数量で9.6%増に留まったものの金額では73.5%も急増した。
力強い経済拡大、膨張する貿易赤字、目標を上回って膠着するインフレ―これらの要因が重なり、政策当局に緩和の余地はほとんど残されていない。中央銀行は物価上昇圧力が高まる中でも、2026年のインフレ目標を4.5%に据え置いている。
結論: 6月のCPI統計は歓迎すべき、しかしもろい息継ぎをもたらした。月間での低下はほぼ燃料由来かつ地政学的なものであり、食料、住宅、サービス分野におけるコアインフレ圧力は根強い。成長が加速しインフレが目標をなお上回る中、ベトナムは2026年残りの期間、難しいかじ取りを迫られている。外交的な進展が反転したり、エネルギー価格が再び高騰したりすれば、今月の改善はすぐに帳消しになりかねない。