事実上、NVIDIAは単発のGPU販売から、「GPU-as-a-Service」あるいは共同投資モデルへと移行している。同社のリターンは、パートナーがどれだけのAIコンピューティングを顧客に販売できるかに、直接的に連動する仕組みだ。
このモデルの最も詳細な公開例が、Sharon AI(NASDAQ: SHAZ)である。同社は2026年6月12日、NVIDIAとの6年間にわたる戦略的コンピューティング協力を発表した。SEC(米証券取引委員会)に提出された8-K資料で確認された主な条件は以下の通り。
Sharon AIはNVIDIA搭載のクラウドサービスを販売し、NVIDIAは標準的な製品収入に加え、その容量から生まれるクラウド収益の一部を得る。なお、提出書類では、厳しい納期や資金調達の必要性など、重要な実行リスクについても言及されている
。
それから約2週間後の2026年6月28日、Firmus TechnologiesがNVIDIAとの戦略的提携を発表した。契約期間は2034年まで、すなわち8年以上の長期コミットメントである。主な数字は衝撃的だ。
FirmusとシンガポールのDayOneがバタム島のキャンパスを開発する。このプロジェクトは、大手ハイパースケーラークラウドに依存しないコンピューティング能力を提供する、より広範な取り組みの一環である。
NVIDIAは以下の企業とも同様の契約を発表している。
これらの提携は、NVIDIAがAIインフラ市場にどうアプローチしているかについて、意図的な変化を示している。同社は個別のチップ販売から、ハードウェアの優位性を複数のレイヤーで「金融化」する方向へと舵を切っている。
単発販売からリカーリング収益へ:GPUを一度売って終わりではなく、そのハードウェア上で生成されるAIトークン1つひとつから、6年から10年にわたって収益を得る。これにより収益サイクルが平滑化され、データセンターの建設ではなく、実際のAI消費に成長が連動する。
部品供給者からプラットフォーム設計者へ:NVIDIAは、液冷設計、ネットワーキング(NVLink/NvSwitch/InfiniBand)、CUDA、AI Enterpriseソフトウェア、参照設計を含む、完全なDSX AIファクトリー設計図を提供する。パートナーは事実上、NVIDIAブランドのファクトリーを運営することになり、NVIDIAは建物を所有しなくても、参照アーキテクチャを掌握し続けることができる。
多層的な財務エクスポージャー:NVIDIAは現在、以下の4つのレイヤーで収益を得ている。
ハイパースケーラーを超えて:規模の小さいAIクラウドプロバイダーを資金面で支援することで、NVIDIAはAWS、Azure、GCP以外の市場も開拓する。これらのパートナーは、ハイパースケーラークラウドのGPU容量にアクセスできないAIスタートアップや企業をターゲットにしている。
要するに、NVIDIAは自社のバランスシートとプロダクトのレバレッジを活用し、AIコンピューティングスタックのあらゆる層で価値を獲得しようとしている。それはチップ販売の時点だけではなく、数年にわたる利用、クラウドサービスのマージン、そしてエコシステム全体の採用にまで及んでいる。