標準のRubin GPUは2つのコンピュートダイと8個のHBM4モジュールで構成される。オリジナルのRubin Ultraは、2つのRubin級チップを1パッケージに融合する設計(4ダイス+16 HBM4E)だった
。縮小版は、標準Rubinと同じ2ダイス+8 HBM構成に戻される
。
重要な注意点: Nvidiaはこのキャンセルを公式発表しておらず、一部の市場関係者は、SemiAnalysisが2026年4月のサプライチェーン・ルーマーを再掲しただけだと指摘している。台湾メディア(Ctee、Commercial Times)は2026年4月初旬にすでに設計変更を報じていた
。
キャンセルの根本原因は、TSMCの先端パッケージング技術の限界にある。
TSMCは、約300mmのシリコンインターポーザーをより大きな角形・矩形パネルに置き換える**CoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)**と呼ばれる新しいパッケージング手法を模索している。初期仕様は約310×310mmで、将来は515×510mm、さらには750×620mmへの拡張が計画されている。しかし、CoPoSの量産開始は早くとも2028年末から2029年初頭と見込まれ、2027年のRubin Ultra投入には間に合わない
。
台湾の業界筋(TrendForce、Commercial Times)は2026年4月の時点で、サプライチェーン計画は当初から2ダイス設計だったと報じており、4ダイス計画は生産実現性に欠ける「目標先行の事前発表」だった可能性がある。Nvidiaは、2つの2ダイスパッケージを同一サーバーボード上に実装する「2+2」構成により、オリジナルの4ダイススループットをパッケージレベルではなくボード/システムレベルで達成する計画とされる
。
SemiAnalysisが6月30日に発表したのは、キャンセル話だけではない。同社は同時に、Nvidiaの2026年下半期のデータセンターコンピューティング収益がウォール街のコンセンサスを20%上回る可能性があると予測した。主な理由は、HBM4の供給ボトルネックが解消されたことだ。これは、「氷と火」が同時に存在する状況を生み出している。
主な含意:
SemiAnalysisの2026年6月30日付レポートが描き出すのは複雑な構図だ。Nvidiaは、フラッグシップ製品の設計変更を余儀なくさせる製造上の現実的な制約に直面している。同時に、短期的には力強い収益モメンタムも維持している。ハイパースケーラーのカスタムシリコンやフレームワークに依存しないソフトウェアによる競争圧力は現実かつ測定可能なものだが、Nvidiaの圧倒的な市場ポジションは、これらのリスクが数年単位、四半期単位ではなく、長い時間をかけて顕在化することを意味する。Rubin Ultraの中止が、たまたま生じたパッケージングの失敗なのか、それとも構造的な競争環境の変化の始まりなのかは、TSMCの次世代パッケージング技術「CoPoS」が、CoWoS-Lでは実現できなかったマルチダイスケーリングを、いつ、どの程度の水準で実現できるかにかかっている。