デンマーク国防軍司令部は、この護衛を定例業務と説明。「他国の政府船舶がデンマークの海峡や領海を通過する際、護衛を提供するのは標準的な手順」と述べています。船団の最終目的地は、現時点では不明です。
今回の航行で特筆すべきは、同ヨットが2022年8月30日(ロシアによるウクライナ本格侵攻の直後)に自動識別装置(AIS)トランスポンダーの電源を切って以来、国際追跡システムに初めて本格的に再出現した点です。それ以降、追跡データに現れることはほとんどなく、海事関係者にとって今回の航行は重要な出来事となりました。
クレムリン(ロシア大統領府)は、Graceful/Kosatkaの所有権を公の場で認めたことは一度もありません。法的にはロシアの法人「ジョイント・ストック・カンパニー・アーギュメント(JOINT STOCK COMPANY ARGUMENT)」が所有しており、同社は米国財務省の制裁リストに掲載されています。しかし、国際メディアは一貫してこのヨットをプーチン大統領と結びつけて報じています。
同スーパーヨットは2014年にブローム・ウント・フォス社(Blohm + Voss)が建造。2022年末に改名後、ロシア沿岸警備隊の護衛を受けながらエストニア沖で目撃されました。
2023年、故アレクセイ・ナワリヌイ氏のチームが設立した調査報道機関ドシエ・センター(Dossier Center)は、プーチン氏に関連する艦隊が、メガヨット「ビクトリア(Victoria)」やそれまで公に知られていなかったボート「オリオン(Orion)」を含む最大10隻のヨットと支援船で構成されている可能性があると報告しました。
さらに、ナワリヌイ氏の反汚職財団は2023年、プーチン氏がウクライナ侵攻の3週間前に、ドイツのハンブルク造船所からロシアの飛び地カリーニングラードへヨットを移動させ、西側の制裁による差し押さえを回避したことを明らかにしました。このヨットは当時、3200万ドル(約50億円)の改装工事中でした。