この勝利はオジエにとって特別な意味を持ちました。2011年にシトロエンDS3 WRCで初優勝して以来、15年ぶりのアクロポリス制覇。WRCキャリア通算69勝目、今季2勝目(今季初勝利はラリー・イスラス・カナリアス)という記録以上に、感情的な勝利となりました 。
ゴール後、オジエはこのラリーの愛称である「神々のラリー」にちなみ、「今日はオリンポスの神々が味方してくれた。こんなに長い年月を経て、ここでまた勝てるなんて信じられない気持ちだ。アクロポリスは世界で最も特別なラリーのひとつだ」とコメントしています 。
一方のヌービルは、この結果を「ポルトガルの“お返し”」と表現しました。彼が言及したのは、同年5月のラリー・ポルトガルのこと。あの時は、オジエが最終日前日の最終ステージでパンクに見舞われ、首位をヌービルに明け渡していたのです 。
「今回は我々がその立場になった。ポルトガルでの出来事が、まさかこんなに早く繰り返されるとは思わなかった。ただ、これがラリーというものだ」とヌービル。勝負の厳しさと、紙一重の幸運が勝敗を分けるWRCの真髄を、彼自身が痛感する結果となりました 。
アクロポリス終了後のドライバーズ選手権は、大きく動きました。このラリーでポイントを獲得できなかったエルフィン・エバンス(トヨタ)のポイントは158のまま据え置き。一方、3位表彰台を獲得した勝田貴元(トヨタ)が151ポイントとし、エバンスに対する差を僅か7ポイントにまで縮めました 。オジエもこの勝利で125ポイントとし、タイトル争いに名乗りを上げています。
2026年WRCドライバーズ選手権 第8戦終了時点のトップ7
| 順位 | ドライバー | ポイント |
|---|---|---|
| 1. | エルフィン・エバンス(トヨタ) | 158 |
| 2. | 勝田 貴元(トヨタ) | 151 |
| 3. | セバスチャン・オジエ(トヨタ) | 125 |
| 4. | サミ・パヤリ(トヨタ) | 114 |
| 5. | オリバー・ソルベルグ(トヨタ) | 103 |
| 6. | アドリアン・フルモー(ヒュンダイ) | 97 |
| 7. | ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ) | 95 |
メーカーとしては、この過酷なグラベルラリーでトヨタ・ガズー・レーシング(TGR-WRT)の強さが際立ちました。オジエが優勝、勝田が3位、サミ・パヤリが4位と、トヨタの3台がトップ5入りを果たしたのです 。この結果により、TGR-WRTはマニュファクチャラーズ選手権でのリードをさらに拡大。圧倒的なチーム力を示しました。
WRCの次戦は、ラリー・エストニア(2026年8月7~9日)。今季9戦目にして、シーズン後半戦の幕開けです 。タイトル争いはここからが本番。エバンス、勝田、オジエ、そして不運に見舞われたヌービルもまだ99ポイントでタイトル圏内。混戦の行方から目が離せません。