この攻撃は、暗号資産プラットフォームに共通する脆弱性を突いたものだ。ブロックチェーンのスマートコントラクト自体は安全でも、サードパーティの依存関係に脆弱性が存在すれば、そこが侵入口となる。ユーザーが正規のPolymarketのウェブサイトにアクセスした際、悪意のあるコードが実際のプラットフォーム上で動作していたため、不正な取引を承認させられてしまった。
PolymarketはX(旧Twitter)上で即座に次の対応を発表した:
対応は迅速で、同日午前中に被害を発見し確認した。しかし、これはPolymarketにとって2カ月足らずの間に2度目のセキュリティインシデントだった。2026年5月中旬には、内部ウォレットの秘密鍵が侵害され、約**70万ドル(約7000万円)**の損失が発生している。この時はユーザー資金は直接影響を受けなかったものの、Polymarketの運用上のセキュリティに弱点があることを示しており、6月のサプライチェーン攻撃でその懸念が現実のものとなった。
ハッキングのわずか5日前の2026年6月20日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は衝撃的な調査記事を掲載した。Polymarketがソーシャルメディアのクリエイターに金を払い、ユーザーが大金を獲得したように見せる偽の動画を制作させていたという内容だ。
WSJの調査で明らかになった主なポイント:
WSJの報道はさらに、マーケティング請負会社「Virality」がクリエイターネットワークを管理し、クリエイターに月額2,000~3,000ドルを支払っていたことを詳述。支払いの条件は、フォロワーの少なくとも60%が米国在住であることで、予測市場を巡る規制の不透明さを無視したものだった。
立て続けに起きた2つのスキャンダルは、複数の側面で複合的な信用危機を生み出している:
タイミングの悪さも際立つ。ハッキングはWSJの調査報道からわずか5日後に発生しており、Polymarketの業務・倫理基準が危険なほど緩いと批判する声を即座に裏付ける形となった。同社は今、セキュリティ、法務、信用の3つの危機に同時に直面しており、ユーザーの信頼を回復する道筋は見えていない。
Polymarketのサプライチェーン攻撃は、暗号資産業界全体のセキュリティ上の傾向の一部だ。サードパーティベンダーを標的にしたサプライチェーン攻撃は、ブロックチェーンインフラの強固なセキュリティを迂回できるため、ますます一般的になっている。今回の攻撃ベクトル——侵害されたフロントエンド依存関係を通じた悪意のあるJavaScriptの注入——はよく知られた手法だが、厳格なベンダー審査とコード整合性管理なしには防ぐことが難しい。
暗号資産プラットフォームを利用する全てのユーザーにとって、Polymarket事件はいくつかの教訓を突きつける:
Polymarketの事例は、欺瞞的なマーケティングが暴露された直後にセキュリティ障害が発生した場合の、ブランドイメージの破壊的影響を浮き彫りにしている。ユーザーはこう考えるだろう——もしプラットフォームが勝利結果について一般市民を欺くことを厭わないのなら、他に何を欺くつもりなのか、と。