モルガン・スタンレーの試算の中核は、AMDのEPYC Veniceが2027年に675万ユニット出荷されるのに対し、NVIDIAのVera CPUは575万ユニットにとどまるというものです 。Veniceの出荷は、TSMCの2nmプロセスとCoWoS(先進パッケージング技術の一種)の能力制約が緩和される2026年の推定125万ユニットから、2027年には約5.4倍に急増すると予測されています 。
この予測は、直接比較できるCPU製品群において、AMDがボリュームでリーダーシップを取ることを示しています。これは、NVIDIAがCPU市場に急速に参入していることを考慮すると、AMDにとって大きな成果です。AMDのEPYC Veniceは成熟した成功を収めているサーバーCPUラインの次世代製品であるのに対し、NVIDIAのVeraは比較的新しい参入製品であるという点が、この差の背景にあると分析されています 。
とはいえ、この特定のCPU出荷台数予測で劣るとはいえ、NVIDIAの全体的な市場での優位性が揺らいでいるわけでは決してありません。同レポートは、NVIDIAが2027年もTSMCのCoWoS(先端パッケージング)における最大の顧客であり続けると強調しています。これは主に、高価格帯のAI向けGPU(Blackwell、Rubin)向けの需要によるものです 。モルガン・スタンレーは、NVIDIAのデータセンター収入は前年比約52%増加すると予測。これはVera CPUの出荷が2倍になることや、GPU需要の持続によるものです 。ただし、CoWoSの需要は多様化しており、AMD、GoogleのTPU(Tensor Processing Unit)、クラウドプロバイダー各社の自社設計チップが新たな成長のけん引役になりつつある点も指摘されています 。
AMDに対しては、特にサーバーCPUの勢いを受けて強気の見方が相次いでいます。2026年6月下旬の主な動きは以下の通りです。
これらの動きは、ウォール街がAMDのサーバーCPU復活に強気であることの表れであり、モルガン・スタンレーの出荷予測はその根拠の一つとなっています。
モルガン・スタンレーの予測は、TSMCがAIおよびサーバーチップ全体の拡大において極めて重要な受益者であることを明確に示しています。同レポートが更新したCoWoS需要の見通しは驚異的です。
この生産能力の拡大は、NVIDIAやAMDだけでなく、AIエコシステム全体にとって極めて重要です。NVIDIAが最大の顧客であることに変わりはありませんが、AMD(EPYC Venice向け)、Google(TPU向け)、そして各クラウドプロバイダーの自社設計ASIC向けなど、需要の裾野は確実に広がっています 。
モルガン・スタンレーの2026年6月のレポートは、サーバーCPU市場が大きな変革期にあることを描き出しています。AMDのEPYC Veniceは、優れたアーキテクチャロードマップとプロセス技術を武器に、2027年にはNVIDIAのVera CPUを出荷台数で明確にリードすると予測されています。これはNVIDIAの全体的な市場での強さを損なうものではありませんが(同社はCoWoSとデータセンター収益の王者であり続けます)、CPUが激しい競争の舞台であることを示しています。そして、このAI主導の半導体ブーム全体において、真の勝者はTSMCです。同社の先端パッケージング技術は、最も重要なボトルネックであると同時に、成長を可能にする中核的な基盤となっています。