ハワイとカリフォルニアの間に広がる太平洋ゴミベルトとその周辺で、海面が青と緑の光を以前より強く反射するようになった――。ベルゲン大学の研究チームが2002~2022年の衛星記録を調べたところ、青緑色(シアン)に近い変化が確認されました。
研究チームは、マイクロプラスチックが光を散乱させることで、この変化に関わった可能性を指摘しています。ただし、衛星観測だけでプラスチックが原因だと証明されたわけではありません。海の色の変化を、マイクロプラスチックの量を測る手段として使える段階にも至っていません。
2
3種類の衛星記録で見えた青と緑の変化
シェイ・チータム、ダニエル・ケストナー、ビョルゲ・ハムレの研究チームは、NASAのAqua MODIS、Ocean Colour Climate Change Initiative(CCI)、Copernicus-GlobColourという3種類の海色データを分析しました。いずれの記録でも、太平洋ゴミベルト内および周辺で、青と緑の波長の反射が強まる傾向が見られました。
2
変化が特に目立ったのは北緯30~40度付近です。青の反射はおよそ10%、緑は2~4%強まったと報告されています。ただし、変化の大きさや分布はデータセットによって異なります。
2
青と緑の光が同時に強まれば、海面の色は青緑色に見えることがあります。ここで観測されたのはあくまで海の色の変化であり、水中のプラスチック量を直接測った結果ではありません。
2
マイクロプラスチックが光の見え方を変える仕組み
研究チームによると、小さなマイクロプラスチック粒子は、可視光をあまり吸収しない一方で、強く散乱させます。そのため、粒子が水中に増えると、青と緑の光が水面から戻ってくる量が増え、青緑色の明るさにつながる可能性があります。
2
この説明が光学的に成り立つかを確かめるため、研究チームは海から反射される光の変化をシミュレーションしました。自然由来の光学要因だけを変えた場合、明るさが増すケースのうち青緑色のパターンになったのは約3%。マイクロプラスチックも変数に加えると、その割合は13%になりました。自然由来の変化だけでも青緑色になる場合はありますが、その場合は、色のついた溶存有機物や自然由来の懸濁粒子が大きく減る必要があると推定されました。
2
5
この3%と13%は、あくまでシミュレーションで得られたケースの割合です。実際に観測された海の色の変化が、マイクロプラスチックによって起きた確率を示す数字ではありません。
2
5
また、モデルでは、条件によっては水1立方メートルあたり約5ミリグラムのマイクロプラスチックがあれば、光学的な影響を検出できる可能性が示されました。これはモデル上の条件付き推定であり、太平洋ゴミベルトで実測された濃度でも、どの海域にも当てはまる衛星検出の基準値でもありません。
2
原因の特定を難しくする衛星データの差
3種類の衛星データは、どの海域でも同じ傾向を示したわけではありません。データを統合する方法や大気の影響を補正する手法の違いに加え、MODISの海色センサーに長期的なドリフト(経年変化)が生じた可能性も、記録同士の比較を難しくしています。
海の色には、植物プランクトンや溶存有機物、自然由来の粒子、さらに海洋環境全体の変化も影響します。今回の研究はマイクロプラスチックを有力な候補の一つとして示していますが、観測された色の変化だけで原因を一つに絞ることはできません。
2
5
確認には海水の直接測定が必要
研究で指摘された課題の一つは、太平洋ゴミベルトの表層水に含まれる、直径300マイクロメートル未満のマイクロプラスチックについて、直接測定のデータが不足していることです。こうした粒子は現場で調べるのが難しく、必要な採水や分析には手間と費用がかかります。
1
2
プラスチックが衛星で捉えた色の変化を引き起こしたと確かめるには、現地調査で微小粒子の濃度を測り、海水の光学的な性質や自然由来の物質も同時に調べたうえで、衛星観測と照合する必要があります。そのつながりが実証されるまでは、海の色は調査の手がかりにはなっても、マイクロプラスチックの蓄積を確かめる指標として扱うべきではありません。
2