バーンスタインのマーク・リー氏は2026年11月4日、TSMC(台湾積体電路製造)の目標株価を554ドルから600ドルへ引き上げました。株式評価は「アウトパフォーム」のままです。理由として同社は、TSMCが市場での立場や価格決定力、AI以外の用途への展開を背景に、AI供給網の「避難先」になり得るとの見方を示しました。
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ただし、これはバーンスタインの投資判断であり、AI関連株全体の見直しや市場の下落からTSMC株が守られるという意味ではありません。また、報道された情報だけでは、600ドルという目標の前提となる業績予想や評価倍率までは分かりません。
「AI供給網の避難先」とは
TSMCは半導体を製造し、業界のさまざまな顧客に供給しています。バーンスタインの見立てでは、特定のAIチップ企業だけに依存せず、先端製造での存在感や価格決定力、AI以外の用途も持つことが強みです。
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もっとも、引用された報道は市場シェアや価格決定力を数値で示しておらず、非AI事業の規模も詳しく説明していません。したがって、これらはアナリストが示した投資仮説として捉える必要があります。
一方、TSMCの決算資料からは先端製造への需要がうかがえます。7〜9月期のウエハー売上高に占める割合は、2ナノメートルが8%、3ナノメートルが33%、5ナノメートルが28%、7ナノメートルが10%でした。同社は、10〜12月期も先端プロセスへの強い需要が続き、2ナノメートルの生産が大きく立ち上がると見込んでいます。
ただし、この四半期の構成比だけで、今後の成長率や価格の動向まで確定するわけではありません。
目標株価はどの程度上がったのか
今回の引き上げ幅は46ドル、率にして約8.3%です。リー氏は8月11日にも目標株価を430ドルから554ドルへ引き上げており、その際の上昇幅は124ドル、約28.8%でした。2回の変更を通じると、目標株価は430ドルから600ドルへ約39.5%上がった計算です。
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MarketBeatが10月下旬から11月初旬に報じたアナリスト平均目標株価は528.78ドルで、バーンスタインの600ドルはこれを上回ります。ただし、これは特定の情報提供元による時点の数字で、常に更新される唯一の市場予想ではありません。
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ほかの目標株価と比べると、次のようになります。
- バークレイズ: 10月16日、目標株価を665ドルから670ドルへ引き上げ。評価は「オーバーウェイト」と報じられています。
- サスケハナ: 7月16日に575ドルから600ドルへ引き上げ。「ポジティブ」評価が示されています。
バーンスタインの600ドルはバークレイズの目標を下回り、サスケハナの目標と同額です。アナリストの目標株価はそれぞれ異なる前提に基づく見通しであり、実際の株価を保証するものではありません。
好調な業績と先行きの見通し
TSMCの7〜9月期売上高は467億2,000万ドルで、前年同期比41.2%増。純利益は7,630億6,000万台湾ドルでした。
14 会社が示した10〜12月期の売上高見通しは523億〜543億ドルです。中央値の533億ドルは7〜9月期を約14%上回り、会社が大幅な前期比増収を見込んでいることを示します。
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7〜9月期の粗利益率は66.4%で、10〜12月期の見通しは65〜67%です。
13 高い水準を維持する予想ではありますが、売上高や利益率が特定の水準に着地すると確約するものではありません。
2026年通期の売上高成長率が約44%になるとの見方も報じられています。ただし、これは決算や会社の見通しをもとにした情報提供元の計算として紹介された数字で、経営陣がそのまま公表した予測とは区別が必要です。 また、設備投資の予算は600億〜640億ドルと報じられており、640億ドルは上限であって、確定した支出額とは限りません。
成長見通しと大規模な投資計画は、需要への自信をうかがわせます。同時に、需要が期待を下回れば、投資負担や成長期待がリスクとして意識される可能性もあります。
業績が強くても、株価が下がる理由
企業業績と株価は、同じ方向に動くとは限りません。報道ではTSMC株は10月の高値から約16%下落し、11月4日にも2.24%下げたとされています。 これらの数字は株価が調整したことを示しますが、AIへの期待後退だけが下落の原因だと証明するものではありません。報道では、データセンター拡大をめぐる政治的な反発への懸念も指摘されています。
ARKインベストが約5万6,000株、約2,460万ドル相当を売却したという報道も、投資家の持ち高をめぐる材料です。報道によると、株価は7月以降に75%超上昇していました。
19 利益確定やポートフォリオ調整の可能性はありますが、この売却だけでARKの意図やTSMCの事業基盤の悪化を断定することはできません。
次に確認したい材料
TSMCの10月売上高は11月10日に発表予定とされていました。 月次売上高は、10〜12月期の会社見通しに沿っているかを見る手がかりになります。ただし、それだけでは利益率やAI関連需要の内訳、新たな投資の収益性までは分かりません。
焦点は、先端半導体への需要を持続的な利益成長につなげられるか、そして投資家がその成長に現在の株価水準を付け続けるかです。バーンスタインの目標引き上げは事業成長への自信を示す一方、株価の下落は企業の成長力と株式の評価が別々の問いであることを映しています。
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