72歳の退職会計士、ドナ・ガスタフソンさんは、個別化mRNAワクチンを含む治療を受けてから数年がたった現在も、膵臓がんの証拠がないと報じられています。印象的な経過ですが、ワクチンが寛解を引き起こしたと、本人の事例だけから結論づけることはできません。膵臓がんの小規模試験には期待を抱かせる結果がある一方、より大きなメラノーマの試験でも、再発を抑える可能性と、まだ答えの出ていない課題の両方が示されています。
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個別化mRNAワクチンの仕組み
治療用のがんワクチンは、すでにあるがんを免疫に認識させたり、治療後の再発リスクを下げたりすることを目指します。感染症を予防するワクチンとは目的が異なります。
個別化mRNAワクチンでは、患者の腫瘍のサンプルをもとに、がん細胞に見られる特徴を標的として設計します。狙いは、その特徴を免疫細胞に認識させ、がんを攻撃できるよう促すことです。
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ガスタフソンさんはワクチン単独で治療を受けたわけではありません。膵臓がんの初期試験では、手術や化学療法などと組み合わせてワクチンが用いられました。
15そのため、彼女の経過をワクチンだけの効果とみなすことはできません。
膵臓がんの試験でわかったこと
初期試験の参加者は16人でした。報告によると、ワクチンに対する免疫反応が確認されたのは8人で、そのうち7人は最長約6年の追跡時点で生存していました。
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11有望な兆しではありますが、参加者の少ない試験です。また、「生存している」ことと「がんの証拠がない」ことは同じではありません。この数字から、反応があった7人全員ががんのない状態だったとは言えません。
ガスタフソンさんは自身の生活について、NPRに「生活の質は100%。以前の自分に戻った」と話しています。
1報道では、ハイキングや旅行を楽しむ様子も伝えられています。
6本人にとって大切な経験であることは確かですが、ほかの患者にも同じ結果が得られることを証明するものではありません。
メラノーマの大規模試験でも再発抑制の兆し
別の第3相試験「INTerpath-001」では、手術で切除したステージIIB~IVのメラノーマ患者1,137人を対象に、個別化mRNA治療薬intismeran autogeneをペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)と併用する方法が調べられました。
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2年時点で、再発なく生存していた割合は併用群で82.2%、ペムブロリズマブ単独群で70.0%でした。再発または死亡のリスクは、併用群で相対的に42%低かったと報告されています。
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単独の患者事例よりも強い臨床試験の証拠ですが、この結果が示すのは、あくまでこのメラノーマの治療状況で再発を抑える可能性です。膵臓がんなど別のがんにも同じ効果があるとは限りません。また、全生存期間のデータはまだ十分に成熟しておらず、患者がより長く生きられるかどうかは、現時点では確立していません。
期待が集まる一方、まだ答えのない問い
膵臓がんの試験は小規模で、どの患者が反応しやすいのか、観察された結果のうちどれだけがワクチンによるものなのかは、まだ明らかではありません。メラノーマの結果も有望ですが、別のがん種や治療状況にそのまま当てはめることはできません。効果がどのくらい続くのか、全生存期間に影響するのかを知るには、より大きな試験と長期の追跡が必要です。
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研究を後押しする動きもあります。米国国立がん研究所(NCI)は、がんワクチン研究に向けた2億ドル規模の取り組みを支援しており、報道では開発を加速するための官民連携構想が伝えられています。ただし、こうした投資や関心は、個別化ワクチンがすでに広く有効であることや、一般に利用できることを意味しません。
希望は持てる。それでも、確かな結論には早い
ガスタフソンさんの経験は、患者や研究者が願う結果が実際に起こり得ることを示す、印象的な一例です。膵臓がんの初期試験やメラノーマの第3相試験も、個別化mRNAワクチンを研究し続ける理由を与えています。
一方、現在の証拠からは、ワクチンがガスタフソンさんの寛解をもたらしたとは断定できません。メラノーマでの結果が膵臓がんにも当てはまることや、再発の減少が全生存期間の延長につながることも、まだ示されていません。期待は持てますが、確実性とは区別する必要があります。
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