10月20日ごろ、NvidiaがオーストラリアのAIクラウド企業Firmus Gridへの数億ドル規模の投資を協議していると報じられた。FirmusがIPO(新規株式公開)を取り下げ、別の資金調達手段を探るなかでの動きだ。ただし、投資が決まったわけではなく、条件も公表されていない。
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IPOを取り下げ、非公開の資金調達へ
Firmusは、約50億豪ドル(約33億米ドル)の調達を目指していた上場計画を撤回し、民間資本の調達に軸足を移した。会社側は市場の変動や環境を理由に挙げている。
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上場時に想定された企業価値は約440億豪ドル。8月の資金調達時に報じられた評価額のほぼ3倍にあたる水準で、投資家からは評価額の妥当性や必要な資金の大きさ、事業運営の実績が限られていることへの懸念が出ていたという。
NvidiaはすでにFirmusに出資していると報じられている。
13 一部の二次報道では持ち分を約7.2%としているものの、その具体的な比率は複数の報道で一貫して確認できる情報ではない。 今回の追加出資についても、現時点で確認されているのは協議中という段階だ。
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MAAS Group株は4.84%上昇
10月21日、Firmusに出資するMAAS Groupの株価は4.84%上昇して3.90豪ドルとなった。同日のS&P/ASX 200指数がほぼ横ばいだったのに対し、Firmusが資金を確保できるとの期待が株価を押し上げたと報じられている。
21 これは報道時点の取引状況であり、必ずしも終値ベースの騰落率を示すものではない。
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MAAS GroupはFirmusの株式を3.2%保有し、データセンター開発に関連する建設契約も結んでいるとされる。そのため、Firmusの資金調達だけでなく、計画を進められるかどうかもMAAS Groupにとって関心事となる。
AIインフラ企業に広がる資金調達への警戒
Firmusを巡る協議は、データセンターの建設・運営に多額の資金を要するAIインフラ企業で、資金調達の難しさが意識されるなかで伝えられた。いわゆる「ネオクラウド」は、AI向け計算資源を提供する企業群を指し、事業拡大に借入を活用する会社も多い。
オーストラリアのデータセンター企業NextDCは、プロジェクトの遅れを受けて株価が40%超下落した。CoreWeaveも10月に株価が29%下落し、5年物クレジット・デフォルト・スワップ(債務不履行への保険に相当する金融商品)のスプレッドは前年から164%拡大したと報じられている。 借入コストの上昇や、負債を使ったデータセンター建設への懸念も投資家の警戒材料となっている。
NvidiaがAIインフラ企業への投資を続けることから、同社は「AIの中央銀行」と形容されることもある。 ただし、これは同社の資金提供者としての存在感を表す比喩であり、出資先を無条件に救済する約束を意味しない。Jensen Huang CEOは別途、CoreWeaveはNvidiaの救済を必要としていないとの趣旨を述べたと報じられている。
Firmusへの出資協議が示すのは、資金調達環境が厳しさを増すなかでの個別企業への支援の可能性だ。協議はFirmusの資金確保を確定させるものではなく、負債に依存するAIクラウド企業が持続可能な条件で成長資金を調達できるかという課題も残っている。