パリモーターショーで欧州の自動車メーカーが打ち出したのは、新型車だけではない。中国メーカーとの競争や電気自動車(EV)への移行を前に、各社は規制や生産支援を含む政策面の後押しを求めた。BMWとステランティスの納車・出荷減も、業界が置かれた厳しい状況を浮き彫りにした。
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「規制の柔軟化」と域内生産への支援を要求
フォルクスワーゲンのブルーメCEOは、欧州の大衆車メーカーが「大きな圧力」に直面していると指摘。中国との競争やEVへの移行に対応するため、規制をより柔軟にし、欧州での生産を後押しするインセンティブが必要だと訴えた。
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ステランティスのアントニオ・フィロサCEOも、欧州にはEV用電池工場がさらに必要だとの考えを示した。
18 各社の主張は、競争力の問題を車種や技術だけでなく、製造拠点や投資環境を含む産業政策の課題として捉えていることを示している。
BMWは中国で苦戦、ステランティスは地域差
BMWグループが発表した7~9月の世界納車台数は55万1,072台で、前年同期比6.3%減だった。中国でBMWとMINIを合わせた納車は24.8%減の11万4,355台。一方、欧州は2.7%増、米国は2.5%増となり、中国の落ち込みを補いきれなかった。
ブランド別では、BMWが47万9,291台で6.8%減、MINIは7万712台で2.4%減だった。
19 ただし、BMWグループ全体では2026年1~9月にMINIの納車が前年同期比6.8%増となっており、四半期と年初来では動きが異なる。
ステランティスの7~9月の世界出荷は推定130万台で、前年同期比1%減。北米で計画されていた生産停止が重しとなる一方、欧州の出荷はEVの伸びを背景に10%増え、北米は12%減だった。 同社はパリで複数の新型車やコンセプトカーを披露し、欧州市場での巻き返しを図った。
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中国製ハイブリッド車には年間上限案
パリのショーが始まる直前、EUと中国は中国製ハイブリッド車の輸出を抑えることで合意した。報道された計画では、輸入を年間35万台に制限し、措置は最短で12月1日に始まる。2年目以降は上限を年6%ずつ引き上げ、措置期間は4年間とされている。
一方、EU側は輸出を大幅に減らす合意と説明し、中国側は自国メーカーの輸出余地と安定成長を確保するものだと位置づけた。両者の説明には温度差がある。 具体的な運用の詳細が報じられるなか、ルノーのフランソワ・プロヴォCEOは合意を欧州自動車産業にとっての「大きな節目」と評価した。
中国メーカーは、EUが中国製EVに追加関税を課した後、関税の対象外となるハイブリッド車の輸出を増やしていた。中国からEUへのハイブリッド車輸出額は、2026年上半期に前年同期の3倍となる75億ドルに達したという。 輸出をめぐる新たな制限は、中国メーカーの欧州戦略にも影響する可能性がある。
伝統的な車名を電動車で再提示
各社は政策論だけでなく、商品でも対抗する。ステランティス傘下のシトロエンは、往年の2CVを手頃な価格帯のEVとして再構成したコンセプトを披露。ルノーも、過去のモデル名を受け継ぐ4と5の電動車を展示した。
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欧州メーカーの応答は、輸入を抑える通商措置だけに頼るものではない。域内生産を支える政策を求めながら、ブランドの歴史を生かした新型車を市場に送り出す。パリで問われているのは、競争条件を整えることと、消費者に選ばれる商品をつくることの両立だ。