パリ・モーターショーで目を引いたのは、新型車だけではない。中国メーカーの出展規模そのものが、欧州を「輸出先」から本格的な事業基盤へ変えようとする動きを映し出している。競争力のある価格と技術を武器に市場を広げる一方、中国国内の需要低迷や激しい価格競争も、海外展開を急ぐ背景にある。
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出展数と販売シェアが示す存在感
ロイター報道によると、今回のショーには中国の自動車ブランドが約20参加し、2024年の前回から倍増した。出展する自動車ブランド約60のうち、およそ3分の1にあたる。別の集計では22ブランドという数字もあるが、報道によって数え方に差があるため、ここではロイターが報じた約20ブランドを基準にする。
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販売面でも存在感は増している。Schmidt Automotive Researchによると、中国ブランドの欧州市場シェアは2026年第2四半期に10.7%となり、前年同期の5.7%から上昇した。8月はEU、EFTA(欧州自由貿易連合)、英国を合わせた新車販売の11.3%を中国ブランドが占めたという。
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同じ報道では、BYDの8月の欧州登録台数は約2万6,000台で、前年同月比127.9%増。別の指標として、BYDは1~8月のEU・英国・EFTA合計の新車登録で2.5%を占めた。登録台数は販売の目安となる数字だが、ブランド別の販売台数・前年比をBYD、奇瑞(Chery)、上汽(SAIC)、零跑(Leapmotor)で同じ基準にそろえて比較できる情報は、確認できる資料にはそろっていない。
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BYDは車両と充電網をセットで訴求
BYDは7人乗りの電動SUV「Atto 8」をパリで公開した。欧州での発売は2027年第1四半期を予定し、航続距離は最大653km(WLTP複合値)としている。
もう一つの目玉は「Flash Charging」だ。BYDは対応する充電器を使った場合、バッテリー残量を10%から97%まで9分で充電できると説明する。ただし、これは専用設備を前提としたメーカーの公表値であり、一般的な充電器で同じ性能が出ることを意味しない。
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充電網については、2026年末までに欧州で100カ所、2027年末までに3,000カ所の設置を目指す計画が報じられている。いずれも目標であり、すでに整備された数ではない。実際の設置ペースや稼働率、繰り返しの超急速充電が長期的にバッテリーへ与える影響については、独立した検証が十分に確認できない。
車種も欧州向けに調整している。パリで披露された「Dolphin G DM-i」は、欧州市場を念頭に開発したBYD初のモデルと紹介されており、中国で販売する車をそのまま持ち込むだけではない戦略がうかがえる。
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輸入枠案が現地生産を意識させる
EUと中国は、中国製ハイブリッド車の輸入を年35万台に抑える案で合意したと報じられている。ただし、運用方法などの詳細はまだ固まっていない。年ごとに6%ずつ枠を増やすという条件は、確認できる資料では裏付けられない。
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ロイター報道では、BYD、奇瑞、上汽傘下のMGが影響を受けやすいブランドとして挙げられた。アナリストの推計では、3社は2026年最初の8カ月にEUで販売された中国ブランドのハイブリッド車の大部分を占めたという。輸入に頼るだけでなく欧州域内で生産する必要性が高まる、という見方も出ている。
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個別企業の工場計画については、BYDが欧州に追加で2工場を設ける案や、フランス進出の可能性、ハンガリー工場の第4四半期稼働開始、長安汽車の2027年初めの欧州生産目標などを、ここで確認できる情報だけでは確定できない。吉利とフォードのスペイン工場をめぐるEV事業や出資比率、XPengの2030年欧州販売目標も同様だ。
欧州メーカーも新型車で応戦
欧州メーカーはパリで新型車を相次いで発表し、中国勢との競争に備える姿勢を示した。報道では、ステランティスが中国の零跑との提携を活用し、BYDや奇瑞に対抗する方針も伝えられている。対抗策は自社ブランドの新車投入だけでなく、中国企業との協業にも広がっている。
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一方、シトロエンの電動2CV、スマートの小型車「#2」、フォルクスワーゲンの「FOR EUROPE」キャンペーン、メルセデス・ベンツ、フィアット、現代自動車の出展状況など、質問にある個別の計画やブランドの位置づけについては、提供された資料から確かな形では確認できない。伝統的な欧州ブランドと、未来志向を前面に出す中国ブランドの対比も、ここでは事実として断定しない。
中国国内では、輸出が堅調な一方、8月の国内販売が前年同月比で減少したとロイターは報じている。国内の競争と需要の弱さを抱えるメーカーにとって、欧州での販売拡大は成長機会であると同時に、現地生産や販売網、充電インフラを整えられるかが問われる長期戦でもある。
現時点で見えているのは、中国勢の出展拡大と市場シェアの上昇、欧州向け車種や充電計画、そして欧州メーカーの新車投入と提携だ。具体的な工場計画や一部モデルの発売時期、輸入枠の細部には未確認の点が残るものの、パリの会場は欧州の自動車市場で競争の軸が変わりつつあることを示している。
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