ファーウェイの「Mate 90」シリーズは、同社がスマートフォンの開発力を取り戻しつつあることを示す。独自設計のKirinチップとOS「HarmonyOS 7」を最新の旗艦機にそろえた点は、米国の技術規制下で積み重ねてきた成果といえる。
ただし、これをもって米国技術への依存を解消した、あるいは半導体を制約なく生産できるようになったとは言えない。ファーウェイの幹部、余承東(リチャード・ユー)氏も、先端チップの供給にはなお制約があると認めている。
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独自チップとOSを旗艦シリーズに搭載
2026年10月1日に発表されたMate 90シリーズは、モデルごとに3種類のKirinチップを使い分ける。標準モデルは9030、Proは9035、Pro MaxとRSは9050 Proを搭載し、OSにはHarmonyOS 7を採用した。
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同社が公表したソフトウェアや研究開発の数字も、取り組みの広がりを示している。HarmonyOSは45万を超えるアプリやサービスに対応し、ファーウェイの研究開発投資は2007年から2025年までの累計で1兆8,000億元を超えたという。
6 ただし、こうした数字だけで、スマートフォンに使われる部品や材料、製造工程のすべてが中国国内でまかなわれていると判断することはできない。
LogicFoldingは設計上の工夫。量産力の証明とは別
最上位チップのKirin 9050 Proには、ファーウェイが「LogicFolding」と呼ぶ設計手法が採用された。回路の一部を縦につながる層に配置し、信号が移動する距離を短くすることで、トランジスタの微細化だけに頼らず性能を高めようとするものだ。報道では、コア内部の配線を約20%短縮したとされる。
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ファーウェイはMate 90 Pro Maxについて、全体の性能が31%向上したと説明している。ただし、この数字は同社の主張であり、向上分すべてがLogicFolding単独によるものと独立に確認されたわけではない。
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また、9050 Proが搭載されるのはPro MaxとRSに限られる。標準モデルとProは別のKirinチップを採用しており、新設計をシリーズ全体に広げて大量生産できることまで示したわけではない。
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残る課題は供給と製造コスト
チップの設計を工夫しても、製造上の制約が自動的に解消されるわけではない。ユー氏は先端チップの供給が限られていると述べており、LogicFoldingにはシリコン使用量や製造の複雑さが増すという課題も指摘されている。
1 こうした状況を踏まえると、ファーウェイが米国の規制の影響を完全に乗り越えたと評価するのは早い。
コストも重荷だ。ユー氏によると、メモリー価格の上昇などを背景に、スマートフォンのコストは平均で約200ドル増加した。同氏は今後の値上げが必要になるとの見通しを示しつつ、値上げ幅は抑える考えも述べている。
「回復」は見えるが、「完全自立」とは別
Mate 90シリーズから読み取れるのは、ファーウェイが独自チップとOSを組み合わせた製品を再び投入し、最上位機では新しいチップ設計も実用化したという確かな前進だ。一方で、先端チップの供給には制約があり、新設計の量産やコストにも課題が残る。
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したがってMate 90は、ファーウェイが技術規制に適応し、失った開発力の一部を取り戻した証拠とは言える。しかし、重要部品を外部の制約なしにすべて製造できるようになったことの証明ではない。