ロシアの捜査当局は、実業家コンスタンチン・マロフェエフ氏が「米当局に資金を不正に取得された」と申し立てたことを受け、刑事事件として捜査を開始しました。マロフェエフ氏はジョー・バイデン元大統領とメリック・ガーランド元司法長官を名指ししています。ただし、報道された捜査当局の発表は、関与した米当局者の特定を進めるというもので、両氏への起訴を発表したわけではありません。
10
争点を読み解くうえでは、マロフェエフ氏の主張と、米国の司法手続きに関する記録を分けて見る必要があります。
マロフェエフ氏の主張
マロフェエフ氏は、米当局が自身から1000万ドルを取り上げ、そのうち540万ドルをウクライナ軍に渡したと主張しています。残る資金も他者に分配された可能性があると述べています。ただし、これらは本人の主張です。ここで参照する米国の記録は、1000万ドル全額が没収されたことや、資金がウクライナ軍に渡ったことを裏付けていません。
7
17
米国の記録が示す投資と没収
米検察当局によると、1000万ドルはマロフェエフ氏が制裁を科される前に米国の銀行へ投じた資金です。検察側はその後、制裁に反して、同氏らがギリシャの取引先へ投資資金を移そうとしたと主張しています。
2
4
米当局が最終的に差し押さえ、裁判所の命令に基づいて没収したのは、投資に由来する約540万ドルです。元の投資1000万ドル全額が没収されたわけではありません。
2
米司法省によれば、ガーランド氏は没収された資金を国務省へ移管し、ウクライナの退役軍人を支援することを承認しました。これは、マロフェエフ氏が主張する「ウクライナ軍への資金提供」とは説明が異なります。参照した資料からは、元の投資の残額がどうなったのかは確認できません。
5
7
ロシアの捜査が「象徴的」とみられる理由
問題となっている資金の没収は、米国の司法手続きを通じて行われました。一方、ロシアの捜査は米当局者の判断に関する疑惑を調べるもので、ロシア側が捜査を始めたことによって米国の裁判所の判断が覆る、あるいは資金が返還されることを示す資料はありません。現時点で確認できるのは、疑惑が捜査対象になったということであり、資金回収や米国での結果変更につながる手段が示されたわけではありません。
2
10