台湾の海巡署によると、10月1日、巡視船「雲林」は東沙島(プラタス諸島)近海で、台湾が禁止水域に指定する海域から中国漁船「金鯊」を退去させるため、放水しました。金鯊は離れる途中で動力を失い、雲林が制限水域の外まで曳航。その後、別の中国船が到着するまで付近にとどまりました。周辺海域では海上活動をめぐる緊張が続いていますが、報道された情報から金鯊自体を海上民兵船と判断する根拠はありません。
9
10
退去要請から放水まで
台湾の海巡署は、午前11時ごろに東沙島の北東で正体不明の船を確認したと発表しました。その後、午後3時ごろ、雲林が島の東約27海里(約50キロ)の海域で、中国漁船2隻「金鯊」と「粤恵東漁75066」を発見。台湾が設定する制限水域内で操業していたとしています。退去を求められたもう一隻は離れましたが、金鯊は繰り返しの警告に応じませんでした。
3
海巡署の説明を報じた「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、雲林はまず約30秒間、警告として空中に放水。その後、金鯊の操舵室に向けて約90秒間放水しました。金鯊はその後、錨を上げて離れ始めました。
9
動力を失った船を曳航、別の中国船に引き継ぎ
台湾の海巡署によれば、金鯊は水域を離れる途中で動力を失いました。雲林は船を制限水域の外まで曳航し、別の中国船が到着して曳航を引き継ぐまで現場付近にとどまりました。退去させる対応に加え、航行不能になった船への支援と引き継ぎも行われた形です。
10
周辺海域で続く動きと、民兵船をめぐる注意点
今回の事案は、台湾の離島周辺で報じられてきた漁船や海警局の活動の中で起きました。2026年5月の分析は、東沙周辺の制限水域への中国海警局の進入や、中国漁船の活動が繰り返されていると指摘しています。また、別の評価では金門周辺などでの巡回活動も取り上げられました。
漁船などの民間船が、監視や妨害、海上での存在の誇示に利用される可能性を懸念する分析もあります。ただし、そうした懸念が個々の船の役割を証明するわけではありません。10月1日の事案を伝えた情報では、金鯊は漁船とされており、海上民兵船だったとは確認されていません。
米台の防衛関係も地域の安全保障を考えるうえでの背景の一つです。米議会調査局(CRS)の概要によると、米台の防衛関係は非公式な枠組みで、武器移転、防衛対話や計画、軍事訓練などを含みます。ただし、利用可能な情報からは、こうした関係と金鯊の事案に直接のつながりは確認できません。