ロシアは2026年の石油・ガス収入見通しを、8.9兆ルーブルから7.6兆ルーブルへ引き下げました。減額幅は1.3兆ルーブル、約15%です。この修正は、2026年の財政赤字が国内総生産(GDP)比で約3%に達するとの財務相の見通しと重なります。赤字は当初計画のほぼ2倍となる水準です。
数字からは、当初想定より厳しい財政運営が必要になっていることがうかがえます。ただし、減額された歳入がそのまま同額の赤字拡大につながるとは限りません。税収など石油・ガス以外の歳入や、支出の見直しも収支を左右します。また、この見通しの修正だけでは、何が主因なのかまでは分かりません。
石油・ガス収入の減少が予算に響く理由
石油・ガス関連の収入は、ロシア連邦予算を支える重要な財源です。見通しが下がれば、政府は予定している支出に充てられると見込んでいた収入が少なくなります。財政赤字が当初計画を上回る見通しも、歳入と歳出の差が広がっていることを示しています。
ロシア政府は2027~29年の支出を支えるため、増税策を提案しています。ただし、将来の増税案だけでは、2026年の歳入不足をどう補うのかは分かりません。
18 収入減を借り入れや他の財源、支出調整のどれで埋めるかについても、ここで示された数字だけからは判断できません。
原油生産の下方修正と製油所への打撃
IEAは、エネルギーインフラへのウクライナの無人機攻撃が続いていることを理由に、ロシアの原油生産見通しを引き下げました。2026年の予測は日量12万5,000バレル下方修正され、日量870万バレルとなっています。
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製油所も影響を受けています。ロイターによると、ロシアの主要なディーゼル生産製油所6カ所のうち3カ所が、9月に操業を停止するか、大幅に縮小しました。
1 IEAは、制裁によって修理や設備の復旧が難しくなり、無人機攻撃による精製能力への影響が積み重なっていると指摘しています。
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ただし、製油所の稼働低下が、そのまま同じ規模の石油輸出減を意味するわけではありません。精製品の生産が落ちた分、原油の輸出が増えたとするロシア政府の予測案をロイターが報じており、輸出先は主に中国とされています。
原油とガソリン・軽油などの精製品は、別々の輸出品目です。製油所の停止によって販売する品目の構成が変わる可能性はありますが、それだけで輸出収入全体の減少額は分かりません。生産見通しの下方修正や製油所の損傷は財政上のリスクですが、今回の1.3兆ルーブルの減額を単独で説明するものではありません。
価格と輸出量、どちらが収入減の原因か
今回の見通しの修正だけでは、原油やガスの価格低下、輸出量の減少、あるいは両方のどれがどの程度影響したのかを切り分けられません。予算の歳入見込みは原油価格やルーブル相場などの前提にも左右され、実際の収入は価格、為替、輸出量の変化によって動きます。
さらに、9月28日に署名された大統領令は、輸出契約に関する情報などへのアクセスや公表を制限します。対象には価格、数量、買い手・売り手、輸送、通関に関する情報が含まれます。 取引の詳細が見えにくくなると、外部の分析者が価格の変化と販売量の変化を区別するための手がかりも少なくなります。
提供された情報から、1.3兆ルーブルの減額のうち、価格と数量がそれぞれどれだけ占めるかを信頼できる形で示すことはできません。 見通しが下方修正されたことは明らかですが、その正確な内訳は不透明です。
制裁措置の監視にも影響する可能性
西側諸国によるロシア産原油の価格上限措置を監視するには、取引価格や売買の当事者、輸送経路などの情報が手がかりになります。こうした情報の公表を制限すれば、取引を追跡し、ルールが守られているかを確かめるのが難しくなる可能性があります。ロイターは、制裁の執行を難しくすることが大統領令の狙いだと報じています。
もっとも、情報の開示制限は監視を困難にする要因であって、制裁の執行が止まったことや、取引を一切追えなくなったことを意味するわけではありません。
見通しの修正が示すもの
歳入見通しの引き下げと、GDP比約3%という財政赤字の予測は、ロシアの予算が当初計画より厳しい状況にあることを示しています。原油生産の見通し悪化や製油所の損傷も懸念材料ですが、精製品と原油の輸出は同じ動きをするとは限りません。
加えて、エネルギー取引に関する情報が公表されにくくなれば、収入減が価格によるものか、輸出量によるものか、あるいは両方なのかを判断するのは一段と難しくなります。今回の修正で分かるのは、政府が見込む収入が減ったということです。その原因の内訳までは確定していません。