欧州中央銀行(ECB)が再び利上げするかどうかは、原油価格の上昇だけでは決まらない。焦点は、中東情勢を背景とするエネルギー高が一時的な物価上昇にとどまるのか、それとも幅広い商品・サービスの価格や賃金に波及するのか、という点だ。
ECBは2026年9月10日、主要政策金利をそれぞれ0.25ポイント引き上げ、預金ファシリティ金利を2.5%とした。新たな見通しでは、ユーロ圏の平均インフレ率を2026年に3.0%、2027年に2.5%と予測している。いずれも目標の2%を上回る。
17
19
ナゲル総裁は追加利上げを排除せず
ドイツ連邦銀行のヨアヒム・ナゲル総裁は、9月の利上げ後の金利を、景気を明確に刺激も抑制もしない「中立的」な水準の上限付近と捉えている。景気をやや抑える「緩やかな引き締め」の水準に進む可能性も否定しない。ただし、それはエネルギー価格と物価全体の動向次第だとしている。
11
14
ナゲル総裁によれば、原油価格は以前より重要な政策判断の材料になったが、唯一の材料ではない。同総裁は、エネルギーと食品を除く「コアインフレ率」もなお高すぎるとみている。燃料価格の上昇が長引けば追加利上げの根拠は強まるものの、原油相場の動きだけで結論が出るわけではない。
2
8
見極めるのは、値上がりが広がるかどうか
ナゲル総裁は8月のコアインフレ率とサービス価格の上昇鈍化を歓迎し、コアインフレ率にはまだ「二次的な波及」が見られないと述べた。これは、当初のエネルギー高がほかの価格設定にも広がる現象を指す。
4
賃金についても、前回のインフレ局面ほど強い反応は懸念していないという。一方で、エネルギー高が長引くほど波及リスクは増すと警告している。現在の労働市場の動向も大きな懸念ではないとの見方だが、それは物価上昇リスクが消えたことを意味しない。
7
10
物価見通しと市場予想は、利上げの約束ではない
ECBのフィリップ・レーン専務理事兼主任エコノミストは、原油とガスの「第2波」の値上がりによってインフレが従来想定より長引き、2027年半ばごろから目標へ向けて低下し始めるとみている。その時点で2%に達するという予測ではない。 ECBの9月の基本見通しでも、2027年の平均インフレ率は2.5%だ。
17
市場の見方はより積極的だ。ロイターによると、9月下旬時点で投資家は、その後1年間にさらに3~4回の利上げを見込んでいた。ただし、これは市場予想であり、ECBの方針表明ではない。
2
クリスティーヌ・ラガルドECB総裁は、金利がエネルギー価格と連動して動くわけではなく、エネルギー高が成長や消費に与える影響も考慮すると説明している。ボリス・ブイチッチ副総裁も、原油高を自動的な利上げの引き金とせず、幅広い経済指標を見るべきだとの立場だ。ラガルド総裁によれば、ECBは9月の決定時にその後の金利の道筋を議論していない。追加利上げの余地は残るが、次の判断は今後のデータ次第となる。
19