レスキュール氏の主張は、AIをめぐる競争政策と技術主権の観点に立つものだ。2026年9月16日、同氏はAI開発を遅らせようという呼びかけについて、すでに業界の「クラスの首位」にいる米国企業に有利に働く可能性があると述べた。後続の企業まで減速させれば、先行企業は首位を維持しやすくなるためであり、同氏はそこに「自己利益」を見いだせると語った。
2
欧州は「遅らせる」より、主導できる力を持つべきだという立場
そのためレスキュール氏は、フランスと欧州がAIの利用を加速させ、能力を高めるべきだと主張した。狙いは単に開発競争で勝つことではなく、AIのリスクを他国や他社任せにせず、自ら管理できるリーダーになることだ。
2
この発言は、欧州がAIのルール、安全性、実装をめぐる議論で実効的な発言力を得るには、技術を使いこなし、供給・運用面の能力も持たなければならない、という考え方を示している。
安全性のための「ペース調整」論とは対照的
対照的に、Anthropicのダリオ・アモデイCEOは、最先端AIモデルの能力向上のペースを落とすよう呼びかけている。同氏の提案はAI開発の全面停止ではなく、安全研究と監督体制が進化に追いつく時間をつくるための協調的なペース調整だ。
1
3
4
報道によると、OpenAIのサム・アルトマンCEOも協調的な減速またはペース調整を支持しており、当面の処方箋ではアモデイ氏に近い位置にある。
4
アモデイ氏らが示す懸念には、高度なAIエージェントが人間の有効な統制を離れる可能性も含まれる。ただし、提供された資料からは、「Anthropicの研究者が急速なAI進歩による人類絶滅を警告した」とする具体的な主張までは裏付けられない。
3
6
また、レスキュール氏がサイバーセキュリティや教育分野の個別リスクを挙げた、あるいは実存的脅威の予測に関して社会の集団的責任について発言した、とする詳細も、提供資料では確認できない。
要するに、確認できる争点は明確だ。レスキュール氏は、欧州が実力と主導権を得てリスクを管理するためにAI活用を急ぐべきだと考える。一方、アモデイ氏らは、急速に高度化する最先端AIの安全確保のため、開発ペースを協調して抑えるべきだと訴えている。
1
2
4