サウジアラビアが、オマーン・ソハール港沖での船舶間移送を通じ、アジアの製油所へ追加の原油カーゴを供給する方針だと報じられたことで、中東からの輸出減がさらに深刻化するとの懸念はいったん後退した。
9月16日(水)の原油先物は大幅に反落した。北海ブレントは前日比2.92ドル(2.7%)安の1バレル=105.83ドル、米国産WTIは3.40ドル(3.2%)安の102.43ドルで取引を終えた。米国の原油在庫の取り崩しが市場予想を下回ったことも、価格の下押し要因となった。
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ただし、これは供給ショックの解消ではない。オマーン経由の対応は、攻撃後に停止しているサウジの輸出分の一部を補うための迂回策だ。ホルムズ海峡を通らずに輸出できる重要ルートである東西パイプラインは、なお停止したままだった。
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原油高の一服で、株と債券はひと息
原油相場の上昇が止まったことで、リスク資産には買い戻しが入った。欧州のSTOXX 600指数は0.5%高の637.09となり、前日に付けた約3カ月ぶりの安値から反発した。市場は同日後半の米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定を待っていた。
債券市場も、急速な売りの後に安定した。米10年国債利回りは前日に5%を上回った後、水曜日には約4.99%。ドイツ10年国債利回りも約3.526%と小幅に低下した。 前日の米10年債利回りは5.04%まで上昇し、2007年以来の高水準となった。原油高と金利上昇が重なり、米主要株価指数を含む世界の株式市場を圧迫していた。
原油安は短期的なインフレ期待を和らげ、政策金利がさらに上がるとの懸念を弱めうる。一方で、原油が1日下げただけでは、エネルギー供給を巡る根本的なリスクは消えない。
なぜ原油市場の逼迫感は残るのか
東西パイプラインは、サウジアラビアにとってホルムズ海峡を迂回する輸出手段である。その停止は、すでに不安定な海上輸送環境の影響を大きくした。クリス・ライト米エネルギー長官は9月15日、数日以内に送油を再開できる可能性があるとの見方を示したが、再開が確認されたわけではない。
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ほかにも、複数の制約が続いている。
- ロイターによると、直前の週末にはホルムズ海峡を通過する商船が1日当たり一桁台まで減少した。
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- イランと連携するフーシ派は、バブ・エル・マンデブ海峡のペリム島に到達したとされ、紅海の海運回廊に対するリスクが増した。
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- サウジの紅海側輸出拠点ヤンブーでは原油積み込みが停止され、欧州顧客向けの9月後半の一部供給もキャンセルされたと報じられた。
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問題は原油の量だけではない。輸送ルートの信頼性が低下し、ガソリンや軽油など石油製品の配送も難しくなる。オマーン沖での限定的な積み替えが目先の価格急騰を抑えても、こうした幅広いリスクプレミアムは残り続ける。
インフレでより切実なのは軽油など燃料価格
原油の反落は、燃料市場が正常化したことを意味しない。欧州の軽油価格は水曜日、過去最高値近辺で推移した。 国際エネルギー機関(IEA)によると、米国のディーゼル/ガスオイル価格は9月初めに1バレル=200ドルを超え、戦前の水準より94%高かった。欧州とアジアもこれに近い水準だった。
インフレを考えるうえで、この違いは重要だ。家計や企業が実際に購入するのは原油そのものではなく、ガソリン、軽油などの製品である。とりわけ軽油高は物流費や製造コストを通じ、幅広い物価を押し上げる可能性がある。
在庫面にも余裕は乏しい。米エネルギー情報局(EIA)は、2026年に世界の石油在庫がすでに約4億バレル減少し、中東の生産・輸出の相当量が年末まで停止した状態が続くため、在庫はさらに減ると見込んだ。 また、IEA推計を引用したロイター分析では、同地域からの石油製品輸出は戦前比で約60%減少しており、深刻な軽油不足につながっている。
FRBの利上げ観測に与えた影響
政策決定前、市場ではFRBが2023年以来初となる利上げに踏み切るとの見方が広がっていた。予想の中心は0.25%ポイントの利上げで、フェデラルファンド金利の誘導目標を年3.75〜4.00%に引き上げるシナリオだった。
イラン情勢に関連するエネルギー供給の混乱は、その金利見通しの一部になっている。ロイターによれば、この紛争に起因するインフレリスクは世界の国債利回りを押し上げ、リスク資産を圧迫してきた。 原油の一時的な下落はFRB判断前の市場を落ち着かせたものの、燃料高が長引けば、インフレと政策金利がより長く高止まりする可能性は残る。
2026年後半も、原油相場は変動の大きい局面に
オマーン経由のカーゴは、サウジアラビアが供給の一部を振り替えられることを示した。東西パイプラインの再開が確認され、ホルムズ海峡の安全な通航と紅海周辺のリスク低下が進めば、価格への圧力は和らぐだろう。
それまでは、原油価格の再上昇に警戒が必要だ。水曜日に下落した後もブレントは105ドルを超え、世界在庫は減少が続く見通しで、現物の輸出・海運の混乱も解決していない。
17 オマーン経由の追加供給は急性のショックを和らげたが、中東の原油フローを平常化させたわけではない。