クシュナー氏によれば、米政府はイスラエルによる2025年9月のカタール・ドーハ攻撃が招いた外交的な反動を、交渉上のてことして用いた。攻撃は軍事作戦として成功せず、イスラエルの国際的孤立を深めたため、ワシントンはその局面を利用してイスラエルにガザ停戦・人質合意の受け入れを迫った、という説明だ。
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クシュナー氏の説明
クシュナー氏はドーハ攻撃を「ひどいこと」と呼び、「軍事作戦としては成功しなかった」と評価した。その結果、イスラエルは「世界的に孤立」し、米国はこの力学を使って「今では彼ら自身もかなり満足している合意」へと押し進めた、と語った。
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この説明で焦点となっているのは、攻撃の軍事的成果ではない。クシュナー氏は、国際的な非難とイスラエルの外交的立場の弱体化という政治的な結果が、以前から協議されていた合意を前進させる交渉材料になったと位置付けている。
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攻撃は2025年9月9日、ドーハにいたハマス関係者を標的として行われた。ハマスは上級指導者らは生き延びたと発表し、BBCが引用した情報では、ハマスの下位メンバー5人とカタールの治安要員1人が死亡した。カタールは、自国の主権を侵害する攻撃だとして非難した。
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同月後半には、BBCが伝えた米ホワイトハウス側の説明によると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はカタール首相との電話で、カタール治安要員の死亡と主権侵害について遺憾の意を表明し、同様の攻撃を繰り返さないと述べた。
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リクードの反論:圧力を受けたのはイスラエルではなくハマスだ
ネタニヤフ首相のリクードは、クシュナー氏による因果関係の説明を退けた。リクードは、ガザ市での作戦拡大、カタールにいるハマス指導部への攻撃、そしてドナルド・トランプ大統領からの圧力が重なり、ハマスが要求を取り下げ、残る人質の解放に同意したのだと主張している。
両者の見方は対照的だ。
- クシュナー氏の見方: 攻撃の失敗と国際的孤立が、米国にイスラエルを動かす交渉力を与えた。
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- リクードの見方: ドーハ攻撃を含む軍事的圧力は、ハマス指導部に安全な逃げ場はないと示し、ハマスへの圧力を高めた。
いずれも当事者側の政治的評価であり、特定の一つの行動だけが合意を決定づけたことを独立して立証するものではない。
合意の実施が止まった理由
争点は、最初の停戦・人質合意を成立させる段階から、その後のガザをどう移行させるかへ移った。米国が支援するロードマップは、ハマスが武器と統治権限を手放し、イスラエル軍が撤収を進め、ハマスに代わるパレスチナ側の統治機構を整える構想だ。国際的な安定化部隊の展開も検討対象とされている。
しかし、実施の順番をめぐって隔たりが残っている。ロイターは2026年8月、イスラエルとハマスが主要要求を譲らず、協議は打開策なしに終わったと報じた。報道された枠組みでは、ハマスの段階的武装解除とイスラエル軍の段階的撤収が想定されていた一方、ハマスはイスラエルが先に自らの約束を履行することが実施の条件だとしている。
イスラエルはこれに対し、ハマスが包括的に武装解除されるまで、部隊の再配置や追加撤収には応じないとしている。米国とイスラエルの当局者は、復興についても非武装化と結び付けている。
問われるのは「次の段階」を実行できるか
クシュナー氏の発言は、2025年10月の合意がどのように可能になったと本人が考えているかを示すものだ。すなわち、ドーハ攻撃後にイスラエルが外交的に脆弱になった局面を、米国の交渉団が譲歩を引き出すために利用したという見方である。これに対し、イスラエル与党は、同じ出来事をハマスへの圧力作戦の一部として捉えている。
より重要な未解決問題は実施段階にある。持続的な移行には、検証可能な武装解除、イスラエル軍撤収の時期と範囲、復興、そしてハマスに代わる統治機構がガザで実際に権限を担えるかがかかっている。