ウクライナが2026年末までの国防費として追加で求めている約270億ドルは、単一の想定外支出によって突然生じた穴ではない。ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の説明によれば、国防省は緊急の軍事需要に対応するため、年後半に使う予定だった資金を年前半に前倒しで支出した。戦争遂行コストそのものも上昇しており、両者が重なって年後半の大きな資金不足につながった。
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不足額について分かっていること
ゼレンスキー大統領は、年後半に割り当てられていた資金が年初から前半にかけて使われ、ドローン生産やその他の緊急需要に充てられたと述べた。つまり核心は、予算総額だけでなく、支出時期が前倒しになったことにある。
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ただし、これは単なる資金繰りのずれだけではない。ウクライナ議会の予算委員会によると、2026年の最初の8か月の軍事支出は前年同期比で17%超増えた。年初時点では不足見込みは約75億ドルだったとされ、戦費の増大によって問題がさらに膨らんだことになる。
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報道では、追加資金は武器などの調達、軍人への給与、戦没者の遺族への支払いに関係するとされる。装備品について将来の納入に向けた前払いを行うことも、国防予算への圧力の一部と報じられている。
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一方で、270億ドルの内訳を項目別に示す完全な公表資料はない。そのため、武器、給与、遺族給付、前払い調達、税収減、行政上の問題などがそれぞれ何%を占めるのかを、公開情報だけで正確に割り振ることはできない。
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「前倒し支出」と「戦争の高コスト化」
今回の不足は、後の月に使う資金を先に使ったことで表面化した。しかし、その規模は戦争の基礎コストが上がっていることも示している。ウクライナの国防相は、融資の早期実行を求めるにあたり、どのように戦うのかを示すより明確な計画を支援国に提示する方針を示した。
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ロシアによる産業・輸出インフラへの攻撃は、生産、輸出、税収を弱め、政府全体の財政環境を悪化させうる。ただ、入手可能な報道は、こうした経済的影響が270億ドルの国防費不足のうち何ドルを直接説明するかまでは示していない。確認できるのは広範な財政圧迫であり、厳密な金額配分ではない。
また、前国防相ミハイロ・フェドロフ氏や特定の当局者に不足額の一定部分の責任があると断定するのも早計だ。ゼレンスキー大統領は、議論のある支出判断の一部をフェドロフ氏の在任期と結び付けているが、提供された報道の範囲では、同氏が不足額の測定可能な部分に個人的責任を負うと結論づけた公的監査は示されていない。
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欧州の支援国が詳しい説明を求める理由
欧州の当局者は、要請額の大きさと、それが比較的遅い段階で明らかになったことの双方に驚いたと報じられている。焦点は「追加資金が必要か」だけではない。支出の説明に説得力があるか、戦争継続の計画が持続可能かを確認したいということだ。
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EUはすでに2026年と2027年向けに総額900億ユーロの融資を決め、各年に450億ユーロを配分する計画だ。ロイターによると、ウクライナの2026年予算は約1兆9000億フリブニャ、約430億ドルの赤字を見込んでおり、専門家は戦費の見積もりが過小だとみていた。
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ここで重要なのは、2年間の支援枠と、特定の月に必要となる現金は同じではない点だ。長期の資金コミットメントがあっても、必要な時期に直ちに資金が届くとは限らない。
EU資金の前倒しは、なぜ2027年のリスクになるのか
キーウが当面の対策として求めているのは、2027年分として予定されたEU資金の一部を2026年に前倒しで受け取ることだ。8月下旬、欧州委員会は正式な要請を受けていないと説明したが、ウクライナ側は公に支払い日程の加速を求めていた。
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早期拠出は2026年の資金繰りを改善し得る。しかし、資源そのものを増やすわけではない。前倒しした分を新たな支援、借り入れ、または別の資金源で補わなければ、2027年に確保済みの支援はその分少なくなる。
セルヒー・マルチェンコ財務相は、戦争継続を前提とした2027年の未充足の対外資金需要を暫定で326億ドルとしている。この数字は軍事費、税収、今後の支援で変動する。それでも、代替財源を用意せず翌年分を前倒しすれば、2027年の資金調達を難しくする方向に働く。
再び注目される凍結ロシア資産
資金不足を受け、欧州で凍結・不動化されているロシアの政府資産をより活用すべきだとの声が強まっている。ポーランド、スペイン、オランダ、スウェーデンは、900億ユーロの融資だけでは足りないとして、EUにこの議論を再開するよう求めた。
EU域内には約2100億ユーロのロシア中央銀行資産が不動化されており、その大半はブリュッセルに拠点を置く決済機関ユーロクリアに保管されている。 ベルギーは元本の活用に慎重で、EU首脳はロシア資産を使う案が当時実行困難だったことから、代わりに共同借り入れで900億ユーロを融資する方式を選んだ。ロシア資産案が進まなかった最大の要因はベルギーの反対だった。
ウクライナにとって選択肢は、追加の新規資金を得るか、既存EU支援の時期を組み替えるか、あるいはロシア資産からより多くの価値を動員する政治的・法的に実行可能な方法を見つけるかだ。2027年分を2026年へ回す案は一時的な橋渡しにはなり得るが、上昇を続ける戦費への恒久的な答えではない。