米国が示しているのは、海軍艦艇への攻撃をイランにとって高くつく行為にするという抑止の構図だ。米中央軍(CENTCOM)は、イラン革命防衛隊(IRGC)が2日間にわたり米海軍艦を弾道ミサイルで2度標的にしたと発表。艦艇は攻撃を回避し、米軍人に被害はなかったとしている。その後、米国はオマーン湾で4隻、イラン最大の石油輸出拠点であるハールク島付近で1隻、計5隻のイラン原油タンカーを破壊したと発表した。
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マルコ・ルビオ国務長官は、この一連の対応を恒常的な警告として表現した。イランが米海軍艦を攻撃、あるいは攻撃しようとすれば、「タンカーを失う」というものだ。続く発言では、米国はテヘランへの経済的圧力を続け、「経済的に締め上げる」と述べた。
狙いは軍事報復だけでなく石油収入への打撃
タンカーを標的にする論理は明確だ。原油輸送はイランにとって脆弱性であると同時に、重要な収入源でもある。IRGCと関係するタンカーを攻撃することで、ワシントンは米艦や基地への攻撃に対し、同じ軍事領域だけにとどまらない形で報復しようとしている。
これは単発の出来事ではない。ロイターによると、米軍は数日前にもハールク島付近の1隻を含むイランの石油タンカー3隻を攻撃した。今回の5隻への作戦は、すでに激化していた海上での攻防の延長線上にある。
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ただし、しばしば語られる「1週間でイランのタンカー10隻」という数字には注意が必要だ。米軍の主張を引用した報道では、今回の5隻を含め、直前の1週間で10隻が航行不能になったとされた。 一方で、確認できる米国発表の中心は今回の5隻と、それ以前の3隻への攻撃だ。
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20 利用可能な報道だけでは、正確な総数や各船の被害状況を独立して確認することはできない。
イランは基地・船舶・湾岸の海運へ報復を示唆
タンカー攻撃後、イランは米軍や米国の地域パートナー、商船に向けた攻撃・警告を打ち出した。
- イランは、米軍のタンカー攻撃後にヨルダンのアル・アズラク基地にいる米軍へミサイルを発射したと発表した。
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- IRGCはホルムズ海峡近くで米国船2隻と石油タンカー8隻を含む計10隻を攻撃したと主張した。ロイターはこの主張を報じたが、攻撃の成功を独立に裏付けるものではない。
- IRGC海軍は、クウェートおよびバーレーンの港周辺にいるタンカーの乗組員に退船を警告し、米国の行動への報復として船舶が標的になり得ると述べた。
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- イランは、米国の石油・ガス権益を含む湾岸のエネルギー・インフラがさらなる攻撃に脆弱だと警告した。
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こうした動きにより、対立は米・イラン間の軍事衝突を超え、湾岸の港湾、航路、エネルギー輸出を支える国々へのリスクへ広がっている。バーレーン、クウェート、ヨルダンは米軍の活動を受け入れる、または支援する国であり、ミサイル、無人機、海上での報復の危険にさらされやすい。
米国は航空分野の制裁も拡大
タンカーへの軍事行動と並行し、米国はイランの商業・物流ネットワークへの締め付けも強めている。
米財務省は9月8日、イランの航空部門を支援したとする36の対象を制裁した。制裁対象には、米国製航空機や機微技術の取得に使われたとされるフロント企業、海外の仲介者、積み替えルートが含まれる。財務省は、イランが同部門を武器、人員、不正な貨物の輸送に利用しているとしている。
財務省はまた、一部の民間航空機をイランへ一時的に再輸出することを認めていた「イラン一般許可J-1」を停止し、従来認められていた一部の民間航空取引については整理・終了のための許可を出した。 さらに先行する措置では、航空や海運を含むイラン関連の行為について、第三国の企業・個人にも及び得る二次制裁の対象範囲が拡大された。
つまりルビオ氏のメッセージには二層ある。タンカー攻撃は石油関連資産を直接脅かし、制裁は資金調達、輸送、重要ネットワークの維持を難しくする狙いだ。
ホルムズ海峡の混乱は世界の原油市場へ波及
最大の経済的な焦点はホルムズ海峡だ。報道によれば、この重要航路を通る燃料輸送は大幅に阻害され、攻撃と脅威の連鎖が長期的な混乱への懸念を強めた。
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原油価格も反応した。CNBCによると、国際指標の北海ブレント原油は9月1日に1バレル94.52ドルだった。その後、海運をめぐる対立の激化とともに100ドル近辺、または100ドル超へ上昇した。
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13 価格には実際の供給減だけでなく、船舶、港湾、輸出施設、通航ルートが攻撃されるかもしれないというリスクが織り込まれる。
イエメンのフーシ派も地域の圧力を増幅している。ロイターは、フーシ派がサウジアラビアの空軍基地や複数の石油関連目標に対する無人機・ミサイル攻撃を主張したと報じた。影響範囲は、米国とイランの直接対立を超えて広がる可能性がある。
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外交の出口は見えにくい
現状は交渉への明確な道筋というより、威圧と報復のエスカレーションである。米国は、米軍への攻撃未遂をイランの石油資産の損失と一層の経済的孤立に結び付け、抑止力の回復を図っている。対するイランは、米国のパートナー、軍事施設、湾岸の商業航行にコストを負わせられることを示そうとしている。
この構図は危険な循環を生む。ミサイル攻撃未遂がタンカー攻撃につながり、タンカー攻撃が基地や船舶への報復を招き、各局面でホルムズ海峡の通航と湾岸のエネルギー施設への危険が高まる。入手可能な報道からは、この連鎖を確実に抑え込める有効な外交チャンネルが動いているとは確認できない。
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