8月の中国の物価統計は一見すると上向いた。だが、その内訳を見ると、家計消費が広く回復したというより、中東情勢に伴うエネルギーコストの上昇が物価を押し上げた側面が大きい。
消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.8%上昇し、7月の0.5%から加速して市場予想と一致した。企業間で取引される製品・原材料の価格動向を示す生産者物価指数(PPI)は同3.8%上昇で、7月の3.5%から加速し、ロイター調査の予想(3.6%)も上回った。
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CPI・PPIともに加速、PPIは予想超え
8月の主要な物価指標は次の通りだった。
- CPI:前年比0.8%上昇。7月の0.5%上昇から加速し、市場予想と一致。
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- PPI:前年比3.8%上昇。7月の3.5%上昇を上回り、市場予想の3.6%も超えた。
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7月はCPIが0.5%、PPIが3.5%の上昇にとどまり、いずれもエコノミスト予想を下回っていた。
3 8月はその減速局面から反発した形だが、重要なのは「何が価格を押し上げたのか」だ。
主因はエネルギー高――製造業のコストに直撃
物価上昇の主な要因はエネルギー価格だった。中東の戦争に伴う供給不安や海上輸送の混乱がエネルギー価格を高止まりさせ、製造業のコストを押し上げるとともに、消費者物価の伸びにも影響した。
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とりわけPPIは、こうしたコストショックの影響を受けやすい。エネルギーは幅広い産業の投入コストであり、上昇すればサプライチェーンを通じて企業価格に波及する。世界的な商品価格の上昇に加え、ハイテク製造業に関連する強い需要もPPIを支えたと報じられている。
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つまり、総合インフレ率の上昇は、必ずしも国内で消費が力強く拡大していることを意味しない。コスト主導の物価上昇は、家計や企業の負担を増やす可能性がある。
数字の改善でも、内需回復の証拠とは言いにくい
8月の発表を伝えた報道では、基調的な国内需要はなお低調とされた。
7 このため、CPI上昇を「中国の家計が幅広く消費を増やし始めた」と読むのは早計だ。
7月の統計でも、CPIの伸びは半年ぶりの低水準に鈍化し、国内支出は停滞していると報じられた。
2 8月はエネルギーコストの再上昇が物価指数を押し上げたものの、消費の弱さという根本問題を解消したわけではない。
輸出が成長を下支え、家計消費は遅れる「二速型」
中国経済では、外需と内需の温度差が続いている。ロイター調査では、8月の輸出は前年同月比25%増と、7月の23.9%増から加速する見通しだった。弱い国内消費と不動産不振のなかで、海外需要が成長を支える構図である。
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7月の活動統計もこの構図を裏付けた。鉱工業生産は前年同月比4.5%増に鈍化し、市場予想を下回った。ロイターは、消費と投資の鈍さを補うため、中国経済が引き続き輸出に依存していると伝えた。
輸出型製造業の拡大は生産や雇用を支え得る。しかし、それだけで家計の安心感や消費意欲が高まり、内需主導の持続的な成長へ移行するとは限らない。
北京に突きつけられる政策の難題
エネルギー高は政策当局に難しい組み合わせをもたらす。国内需要が弱いなかで、物価と企業コストだけが上がるからだ。エネルギー価格の高止まりが続けば、健全な需要主導のインフレではなく、家計の購買力や企業利益を圧迫するリスクがある。
北京にとっては、産業生産の拡大に過度に頼らず消費と信頼を支えながら、不動産市場の弱さにも対処するというバランスが必要になる。輸出の強さは当面の成長を支えるが、貿易摩擦や海外需要の変化に対する脆弱性も高める。
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8月の物価統計は、国内経済が決定的に好転したサインというより、エネルギー・商品コスト主導のインフレ反発と捉えるのが妥当だろう。より説得力のある回復には、エネルギー価格の上昇だけでなく、家計消費が持続的に改善することが求められる。