Appleは2026年7月、OpenAI、同社のハードウェア部門io Products、元Apple幹部のTang Tan氏、元AppleエンジニアのChang Liu氏を相手取り、営業秘密の不正流用を理由に提訴しました。Appleは、OpenAIが消費者向けハードウェア事業を急ぐなか、元社員を通じて自社の非公開情報を取得・活用したと訴えています。一方のOpenAIは、Appleの営業秘密が盗まれた事実はないと否定しています。現時点で、これらの主張は裁判所によって認定されたものではありません。
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Appleが訴える「営業秘密」とは
Appleによると、問題となっているのは製品・ハードウェアの設計、製造プロセス、サプライヤーとの運営、サプライチェーンなどに関する機密情報です。同社は、Tan氏とLiu氏がこうした情報に不適切にアクセスまたは保持し、OpenAIの消費者向けデバイス開発に役立てたと主張しています。
Appleが求めているのは、当該情報の利用・開示を止めることです。
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ここでいう営業秘密は、単に元社員が在職中に身につけた技術や経験そのものではありません。訴訟では、保護されるべき具体的な非公開情報が何だったのか、それを不正に取得・使用した行為があったのかが重要になります。
被告と採用を巡る背景
被告には、OpenAIとio Productsのほか、Appleでハードウェア部門の上級職を務めたTang Tan氏、元エンジニアのChang Liu氏が含まれます。
Appleは、OpenAIにはすでに400人超の元Apple社員が在籍しているとしています。この人数自体が不正行為の証拠となるわけではありませんが、訴訟が2人の元社員だけでなく、AI企業によるハードウェア人材の獲得競争という広い文脈を持つことを示しています。
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OpenAIの反論:「不正取得の具体的事実が示されていない」
OpenAIは、Appleが、営業秘密が取得・利用されたことや、OpenAIがそれを受け取ったことを裏付ける具体的な事実を示していないと反論しています。
同社はさらに、Appleが訴訟を起こした目的は、立ち上がりつつある消費者向けハードウェアの競合相手を弱め、Apple社員の離職を思いとどまらせることにあると主張しました。OpenAIは裁判書面で、この紛争を「Apple自身が招いた混乱」だという趣旨で批判しています。
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カリフォルニア州で問われる線引き
訴訟が進むカリフォルニア州では、一般に従業員が競合他社へ移る自由が重視され、競業避止義務には幅広い制限があります。つまり、転職そのものや、個人が培った一般的な技能・経験を新たな職場で生かすことは、通常は許容されます。
ただし、その原則は営業秘密の持ち出しや利用を認めるものではありません。裁判所が判断すべき核心は、被告らが一般的な職業能力の範囲にとどまっていたのか、それとも特定可能なAppleの秘密情報を不正に扱ったのか、という点です。
個人用iCloudと退職時の対応も防御論に
OpenAIは、Appleが業務記録を社員個人のiCloudアカウントに保存することを許していた一方、退職者を速やかに退出させる運用だったと指摘しています。
OpenAI側は、この組み合わせでは、退職者が個人ファイルとAppleの資料を区別したり、資料を体系的に確認して返却したりすることが難しかったと主張します。
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これは、Appleの情報管理や退職手続きが訴訟の判断に影響し得る、というOpenAIの防御論です。ただし、この主張がAppleの営業秘密侵害の訴えを否定するかどうかは、別途裁判所が証拠に基づいて判断することになります。
Tan氏とLiu氏の説明
Liu氏は、資料にアクセスしたのはOpenAIのために営業秘密を持ち出す目的ではなく、元Apple同僚を支援するためだったと説明しています。Tan氏は、試作品は返却し、保持したのは機密扱いではない資料だけだったと述べています。
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これらはAppleの事実主張に対する被告側の反論であり、裁判所による事実認定ではありません。
裁判所が見極めるポイント
この訴訟では、主に次の点が問われる見通しです。
- Appleが、法的保護の対象となる営業秘密を十分具体的に示せるか
- Tan氏またはLiu氏が、その情報を不正に取得、保持、開示、利用したか
- OpenAIまたはio Productsが不正利用を認識し、そこから利益を得たか
- Appleのファイル保存・退職時運用が、各主張の評価にどう影響するか
Appleは自社の技術・知的財産を守るための訴訟だと位置付けています。これに対しOpenAIは、競争と人材採用を制約するための訴訟だとみなしています。AI競争がソフトウェアだけでなく、端末や消費者向けハードウェアにも広がるなか、両社の緊張関係が一段と表面化した事案といえます。
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