「年1回の物語」を毎日の発信へ
英国最大の従業員所有小売企業であるジョン・ルイスは、AIエージェントを使って商品を探す消費者の増加に合わせ、動画やSNS向けコンテンツの制作を大幅に強化している。狙いは、ChatGPTのようなAIツールで「何を買うべきか」を調べる人に対し、自社ブランドと商品を見つけてもらいやすくすることだ。
同社サイトへのAIエージェント由来の検索は、1年前の0.3%から2.5%へ上昇した。利用は年齢層を問わず拡大しているという。
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その中心となるのが、ロンドン・オックスフォード・ストリートの旗艦店内に新設した**「The Box Studio」**だ。インフルエンサーらが日々コンテンツを制作できる常設施設で、2007年から年に一度展開してきたクリスマス広告のストーリーテリングを、通年の動画・SNS発信へ広げる位置づけとなる。
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初弾は「Gift List」
スタジオの最初の企画は、司会者アンジェラ・スキャンロンによるソーシャルメディア先行の動画ポッドキャスト(vodcast)「Gift List」。贈り物を贈ったり受け取ったりした体験にまつわる話を扱い、初回にはジャーナリスト・番組制作者のルイ・セローが出演する。
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エピソード本編と短尺クリップはYouTubeやSNSで展開される予定だ。こうした素材を増やすことで、買い物客だけでなくAI検索システムにも参照・発見される機会を広げる考えだ。
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ただし、これはAIの推薦枠を直接買う施策ではない。コンテンツの量と関連性を高めればデジタル上で発見されやすくなる可能性はあるものの、個別のAIチャットボットがジョン・ルイスをどのように順位付け・推薦するかまでは保証されない。
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慎重な消費者を前にした投資
この戦略の背景には、同社が「厳しい経済環境」と表現する消費の慎重化がある。インフレと金利上昇を受け、裁量的な支出に慎重な消費者が増えている。経営陣は、とりわけ主な顧客層である40〜50代が、借入コストや子どもの将来の雇用見通しに不安を抱いていると指摘している。
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一方、夏の熱波はエアコン関連商品やガーデン家具の販売を押し上げた。ただし、こうした一部カテゴリーの需要増は、不要不急の買い物を巡る幅広い逆風を解消するものではない。
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ジョン・ルイスは「取引環境は本当に厳しかった」との警告後、9月10日に上期決算を発表する予定だった。
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経営トップ交代も進行
同社では経営の引き継ぎも進む。百貨店事業のマネージングディレクター、ピーター・ルイスは新たなプロジェクトに取り組むため9月6日付で退任し、パートナーシップの非常勤取締役だったウィル・カーナンが後任となる。会社はこれを計画的な後継人事としている。
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AIが買い物の入口になりつつある今、ジョン・ルイスは従来の広告キャンペーンだけに頼らず、日常的に検索・視聴・共有される素材を蓄積する方向へ舵を切っている。