フォルクスワーゲン(VW)の新たな再編計画「Future Plan 2030」により、ドゥカティは繰り返されてきた売却観測の対象から、VWグループの保有資産として正式に見直される対象へと位置付けが変わった。
ただし、この二つは同じではない。VWは大規模な再編と保有事業の再評価を進める一方、ボローニャの二輪メーカー、ドゥカティについて全株・一部の売却を承認したとの公表はない。
なぜ今、ドゥカティが評価対象なのか
再編の背景にあるのは、VWが掲げる収益改善の目標だ。グループは2030年までに営業利益率9%を目指しており、2026年上期の3.8%から大幅な引き上げとなる。
3 公式計画では中核である自動車事業を重視し、2030年の年間販売台数を900万台と想定している。
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「Future Plan 2030」はコスト削減だけでなく、グループをより簡素な組織にすることも狙う。VWは2035年までにモデル数を約50%削減し、開発・生産上の複雑性を約75%減らす方針だ。少数の量販モデルへ資源を集中し、規模の利益を高める。また、管理階層を簡素化するとともに、保有する事業・持ち分の数もおよそ3分の1減らす計画としている。
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報道によれば、同計画には世界で約5万人規模の人員調整と保有資産の見直しが含まれる。
7 ドゥカティの将来を検討する動きは、同社だけに向けた売却手続きの開始というより、グループ全体で資本配分と事業ポートフォリオを組み替える過程と捉えるべきだ。
決まっていること、決まっていないこと
現時点で最も明確なのは、取引決定ではなく不確実性が残っているという点だ。ドゥカティCEOのクラウディオ・ドメニカーリ氏は、VWが一部の保有事業を再評価しており、ドゥカティもその一つだと認めつつ、「まだ何も決まっていない」と述べた。
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これは、以前にアウディ側から伝えられた「ドゥカティは売りに出していない」という、より明確な姿勢からはトーンの変化といえる。しかし、保有見直しは売却プロセスそのものではない。買い手、企業価値、時期、取引形態、取締役会などによる売却承認について、公表済みの確定情報はない。
したがって、顧客や従業員、取引先にとっての当面の現実は、ドゥカティが事業と投資を継続する一方で、株主が戦略的選択肢を検討しているということだ。将来の選択肢には保有継続も、部分・全体の売却検討もあり得るが、どの道をVWが選ぶかを裏付ける公表情報はまだない。
イタリアの反応:「メイド・イン・イタリー」を守る
ドゥカティの所有構造が変わる可能性は、イタリアの二輪産業、そしてエミリア=ロマーニャ州の製造業基盤にとって政治的にも重要な問題になっている。
イタリアの企業・メイド・イン・イタリー相、アドルフォ・ウルソ氏はドメニカーリ氏と協議し、重要な「メイド・イン・イタリー」の象徴である同社を守るための道筋で合意したと表明した。
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焦点は単に売却価格ではない。ボルゴ・パニガーレにある開発力、雇用、生産拠点といった、ドゥカティのイタリア国内における産業的な基盤が維持されるかどうかが問われることになる。
1億2100万ユーロの投資が示すもの
ドゥカティは所有問題の結論を待たず、イタリアでの投資を進めている。「Ducati Raise the Bar」は研究、開発、イノベーションに総額1億2100万ユーロを投じる計画で、このうち9900万ユーロ超が産業研究と実験的開発に充てられる。
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イタリアの省庁は返済不要の補助金として3350万ユーロを拠出する。これは計画総額のおよそ4分の1に当たる。
2 この投資は、ドゥカティの製品・技術開発を後押しするだけでなく、イタリア政府が同社の競争力と「メイド・イン・イタリー」としての存在に直接的な利害を持つことも意味する。
この計画が法的に所有者変更を阻止するものではない。それでも、最終的にVWがどの選択をする場合でも、ドゥカティの技術・生産能力をイタリアに維持することの産業面・政治面での重要性は高まっている。
結論
「Future Plan 2030」は、VWが収益性の向上に向け、ブランド、車種、人員、保有資産について従来の前提を見直す用意があることを示した。ドゥカティはその検討対象だが、売却が確定したわけではない。
現状は二つの事実が並行している。VWはよりスリムなグループを目指して資産を再評価している一方、ドゥカティはイタリア政府の支援を受けた大型イノベーション投資を進めている。次に注目すべきなのは新たな観測ではなく、VWまたはアウディが示す明確な正式決定だ。