Krakenは、OpenAI向けのPF_OPENAIXUSDとAnthropic向けのPF_ANTHROPICXUSDという2つのIPO前パーペチュアル(無期限先物)を上場しています。適格な顧客は、両社が株式上場する前でも価格変動へのエクスポージャーを取引できます。
ただし、これはOpenAIまたはAnthropicの株式そのものではありません。両社に対する議決権、配当を受ける権利、IPOでの株式配分、その他の所有権は発生しない、独自の評価額参照指標を対象とするデリバティブです。
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実際に売買するのは何か
パーペチュアル(perp)とは、あらかじめ定められた満期日がない先物型のデリバティブです。この市場では、示される評価額が上がると見込むならロング、下がると見込むならショートを取れます。Krakenによると、これらは現金決済型で、複数の担保資産を使える「フレックス・マージン」に対応し、レバレッジは最大5倍です。
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両契約は2026年6月15日に取引開始され、最小ロットと呼値はいずれも0.01、最大建玉は1,000ベース単位、証拠金区分はClass F、最大レバレッジは5倍とされています。
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もっとも、5倍は上限であり、すべての口座・建玉に適用されることを意味しません。許容レバレッジや必要証拠金は、建玉規模、口座の適格性、Krakenのリスク管理に左右される場合があります。
価格は上場株価ではなく「合成参照価格」
OpenAIとAnthropicはいずれも非公開企業であり、通常の先物市場が追随できるような、継続的に提示される公開株価は存在しません。そこでKrakenは、この商品用に設計したPreMarket Synthetic indexを使用しています。同社は、この指数について、流動性が薄い立ち上がり段階の市場でフラッシュ清算を起こしにくくするため、価格を平滑化し、厳格な範囲内に収める設計だと説明しています。
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この点が最も重要です。この契約が提供するのは合成的な価格エクスポージャーであって、両社の企業価値や1株当たり価値をリアルタイムで確定するものではありません。非公開企業の評価は、資金調達条件、セカンダリー取引、資本構成、IPOへの期待などに左右されます。これらは公開株式市場のライブ価格とは同一ではありません。
一部報道では、マーク価格の仕組みに参照値を中心とする0.25%のクランプ(価格制限)があるとされています。
2 ただし、Krakenが公開している説明はより概括的で、合成指数を外部から独立に再現・検証できる完全な算出方法までは示していません。したがって、契約価格を外部監査可能なスポット評価額とみなしたり、将来のIPO価格と一致すると想定したりするべきではありません。
平滑化は何を抑え、何を解決しないのか
Krakenが平滑化と価格範囲を採用する目的は、薄い板での短時間の値動きが連鎖清算につながる可能性を抑えることです。
12 急な約定や一時的な板の歪みが、リスク管理に使うマーク価格へ直ちに与える影響を小さくできる可能性があります。
一方で、これは市場を制御するための機能であり、客観的な企業価値を証明するものではありません。急変時には、マーク価格が最終約定価格とは異なる動きをする可能性もあります。今回のOpenAI・Anthropic契約について、実現ボラティリティ、板の厚み、スプレッド、清算頻度を独立して検証した十分な履歴データは、提供された資料からは確認できません。Kraken自身もIPO前パーペチュアルを投機的な商品として位置付けており、特殊な価格設計は、非公開企業の参照価格を取引する難しさを反映しています。
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証拠金・レバレッジと清算リスク
レバレッジは利益の可能性だけでなく損失も拡大します。最大5倍の場合、証拠金1ドル当たり最大5ドル相当の名目エクスポージャーを持つことになります。
8 取引コスト、資金調達料、維持証拠金、スリッページも考慮すれば、不利な値動きによって利用可能な証拠金が急速に尽きる可能性があります。
リスクは、単に「OpenAIやAnthropicの長期的な価値が上がるか」を読み違えることにとどまりません。建玉は、契約の合成参照価格、流動性の変化、注文板の状況、リスク管理ルールにも影響を受けます。取引前には、Krakenの最新の契約仕様と、口座に適用される証拠金条件を確認する必要があります。
誰が利用できるのか
Krakenによれば、これらの商品は適格な顧客に限定され、米国、欧州経済領域(EEA)、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの顧客は対象外です。
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11 英国では、リテール顧客はデリバティブを取引できず、一定の条件を満たす選択的プロ顧客が対象となる可能性があります。
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利用可否は、居住地、顧客区分、地域規制によって変わり得ます。したがって、「米国以外の顧客」であることだけでは、これらの契約を取引できる保証にはなりません。
バミューダ、競合商品、規制上の論点
提供されたKrakenの資料は、非米国向けデリバティブとしての提供を確認していますが、この2契約がバミューダ法人を通じて認可されているとまでは示していません。報道でバミューダとの関係が明示されているのは、Coinbase Bermudaによる競合のOpenAI・Anthropic IPO前パーペチュアルです。
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この分野はKrakenだけのものではありません。報道では、Coinbase、OKX、Crypto.comにも、非公開企業の評価額を対象とする類似商品があるとされています。
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15 規制当局が注目し得るのは、株式を受け渡さない点だけではありません。商品説明の十分性、レバレッジ、顧客の適格性、市場の健全性、そして合成エクスポージャーが株式保有ではないことを顧客が理解しているか、といった論点もあります。
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OpenAIまたはAnthropicがIPOしたらどうなるか
IPOがあっても、パーペチュアルの保有者が株式を受け取ることはありません。Krakenは、OpenAIまたはAnthropicがIPOを完了した場合、契約を公開上場に転換する意向を示す一方、FAQでは転換リスクに注意を促しています。
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実際の移行方法は重要です。適用される契約条件やイベント通知に応じて、Krakenは参照価格を変更し、契約を調整・移行する、または別の手続きを取る可能性があります。IPO前の最終的な合成価格は、IPOの公募価格や上場初日の取引価格と大きく異なる場合があります。
これは単なる技術的な問題ではありません。IPOでは、公募条件、株式数、取引市場、需要に関する新情報が市場に入り、IPO前の合成参照価格と公開市場での価格の間に断絶が生じる可能性があります。保有者にとってIPOは、公募株への自動参加ではなく、重大な契約イベントとして捉えるべきです。
結論
KrakenのOpenAI・Anthropicパーペチュアルにより、適格な顧客は上場前から両社に対する強気・弱気の見方を、レバレッジ付きで表現できます。しかし取引対象は企業株式ではなく、Krakenの現金決済型の合成参照価格です。通常の公開スポット市場がないこと、独自の価格設計、レバレッジ、そして将来のIPO移行に伴う不確実性により、これらの商品は上場株を購入することとは大きく異なります。
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