EUが導入した低額輸入品向けの新たな関税は、消費者へ中国などから個別発送する越境ECの採算を、早くも変え始めている。制度開始後7週間で、ベルギーの主要な流入地点では約2億2400万ユーロが徴収された。その一方で、中国系EC貨物の欧州向けゲートウェイの一つであるリエージュ空港では、2026年7月の小口貨物到着数が前年同月比53%減った。
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この初期データは、少額の荷物を個別に直送するモデルが急速に縮小したことを示す。ただし、減った貨物がどこへ移ったのか、また各ECプラットフォームが物流網をどう変更したのかについて、確定的なデータはまだない。
2026年7月1日に何が変わったのか
EUは、EU域外から輸入される150ユーロ以下の貨物に適用されていた関税免除を廃止し、暫定的に3ユーロの関税を導入した。適用期間は2026年7月1日から2028年6月30日までで、2028年7月1日以降は商品の種類に応じた通常の関税が適用される予定だ。
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重要なのは、これは単純に「荷物1個につき3ユーロ」という仕組みではない点だ。課税は発送物に含まれる異なる関税分類ごとに行われる。同じ分類のTシャツ5枚なら3ユーロだが、Tシャツと腕時計が同梱されれば、分類が異なるため6ユーロとなる。
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この設計により、複数カテゴリーの商品を少額でまとめ買いするケースほど負担が増えやすい。越境EC事業者にとっては、通関分類の正確性と発送内容の設計が、従来以上に収益性を左右する要素になった。
ベルギーで約2億2400万ユーロ、リエージュでは小包が53%減
ベルギーの主要な流入地点では、新関税の開始から最初の7週間で約2億2400万ユーロが徴収された。これはベルギー税関のデータに基づく報道によるものだ。
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同じ時期、リエージュ空港に到着した小口貨物は2026年7月に前年同月比53%減少した。リエージュは中国発のEC商品が欧州へ入る主要ハブの一つであり、この大幅かつ急速な落ち込みは、制度が狙った個別直送型の小口輸入に即時の影響が出たことを示唆する。
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ただし、徴収額が判明しているからといって、ベルギー政府がその収入を何に配分・支出するかまで決まっているわけではない。提供された資料には、使途に関する確認済みの計画は示されていない。
フランスやフランクフルトへ貨物は移ったのか
確認できるのはリエージュでの急減であり、フランスやドイツ・フランクフルトへどれだけの貨物が振り替わったかを示す検証済みの数字はない。そのため、リエージュで失われた取扱量の特定割合を、いずれかの拠点が吸収したと結論づけるのは時期尚早だ。
フランス税関の数値を引用した報道では、制度導入後の中国発小口輸入が30~40%減ったとされる。ただし、これは広い輸入フローに関する推計であって、フランス国内の特定空港や物流拠点の取扱量を示すものではない。
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また、小口貨物の件数減少は、航空貨物の総重量減少と同義ではない。提供資料には、制度導入後のリエージュ、フランス、フランクフルトについて、比較可能で検証済みの総航空貨物量は示されていない。
Temu、SHEIN、AliExpressへの影響
Temu、SHEIN、AliExpressは、低額品の関税免除終了の影響を受けやすいプラットフォームとしてしばしば挙げられている。
4 ただし、提供された資料だけでは、3社それぞれが欧州でどのようにフルフィルメント戦略を変更したかを裏付ける情報はない。
制度の構造からは、異なる商品を個別小包でEUへ直送する形への依存を減らす経済的な誘因が明確に生じる。輸入前に商品をまとめる、EU域内の倉庫に在庫を置く、EU域内から注文を発送するといった方法なら、暫定関税の対象になる低額の直送貨物数を減らせる可能性がある。これは制度設計から導かれる経済的な推論であり、特定企業が実際に採用した施策を確認したものではない。
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物流会社やマーケットプレイスにとって目先の実務課題は、分類の精度と発送構成だ。低額の発送物に関税分類が一つ増えるたび、追加で3ユーロが発生し得る。
11月の「2ユーロ取扱手数料」は確定しているのか
EUの広範な関税改革と併せて、別途の取扱手数料が議論されている。一部報道では11月導入の可能性や、1個当たり2ユーロという水準が伝えられているが、EU全体で確定した課徴金ではなく、提案または交渉中の扱いだ。
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欧州委員会のガイダンスで11月からの実施が明確に確認できるのは、商品識別子(PID)の申告義務化である。PIDは2026年7月1日から任意で申告でき、11月1日から義務となる。この追跡可能性を高める制度と、未確定の2ユーロ取扱手数料を混同すべきではない。
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結論:効果は見え始めたが、物流再編の全体像はまだ不明
現時点のデータは、EUの暫定関税が大きな税収を生み、リエージュに到着する低額小口貨物の著しい減少と同時に起きたことを示している。
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一方で、ベルギーが税収をどう使うのか、フランスやフランクフルトへの振替量はどの程度か、Temu・SHEIN・AliExpressが個別にどんな物流戦略を実行したのかは、確認されていない。今後は、拠点別の比較可能な小包件数、航空貨物の総重量、通関申告件数、そして取扱手数料に関するEUの正式決定を追う必要がある。