中国のEVメーカーが価格競争力を高めるなか、ホンダは単にEVから距離を置くのではなく、車両コストの構造を見直し、ソフトウェア開発を共同化し、ハイブリッド車を収益の柱として活用するという複合策を進めている。
背景には、EV事業の再編がもたらした大きな負担がある。ホンダは2026年3月期に営業損失を計上し、EV再編関連費用は90億ドル超に達した。長期のEV販売目標は撤回し、戦略の重点をハイブリッド車にも振り向けている。
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主要部品で約30%のコスト低減を要請
ホンダは2030年までに1.5兆円超(約94億ドル)のコスト削減を目標に掲げている。報道によると、プレス・鍛造部品、電装・機能部品、ソフトウェア定義車両(SDV)関連部品の3分野で、サプライヤーにおおむね30%のコスト低減を求めた。
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狙いは、価格面で優位に立つ中国EV勢との差を縮めることだ。削減対象には従来型の機械部品だけでなく、電装品やSDVの電子・ソフトウェア関連部品も含まれる。車の競争力がソフトウェア、演算装置、電子アーキテクチャーに移るほど、開発・調達コストを抑えられるかが重要になる。
標準部品と中国製部品の活用を検討
具体策として、一次サプライヤーには材料調達の見直し、二次・三次サプライヤーの標準部品の採用拡大、可能な範囲での低コストな中国製部品の利用が促されている。
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もっとも、これは中国調達へ無条件に切り替える方針ではない。安全に直結する部品や、地政学的なリスクを伴う調達については慎重に扱う考えも示されている。
12 コスト低減と同時に、品質保証、安定供給、通商環境の変化への耐性を確保できるかが問われる。
日産とはSDVの「土台」を共同開発
調達改革と並行して、ホンダは日産と次世代SDVの中核技術を共同開発・標準化する契約を結んだ。対象は複数の中核ECU(電子制御ユニット)、車載OS、主要ミドルウェア、車両制御ソフトウェアで、両社は2029年度からの採用を目指している。
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SDVとは、車両機能をソフトウェアで更新・拡張していく考え方の車だ。共通仕様を採用すれば、両社は基盤となる電子ハードウェアやソフトウェアの開発費を分担できる。部品の数量を増やして調達を効率化し、同じ土台を別々に作る重複投資も避けやすくなる。
これは、実現しなかった両社の経営統合とは異なり、特にコスト負担が重いソフトウェアと電子制御の領域に協力を絞る取り組みだ。
なぜ今、コスト改革を急ぐのか
ホンダはEV需要が当初の想定ほど伸びなかったことに加え、米国の関税対応、人件費上昇、電池・EVプラットフォーム・運転支援システム・車載コンピューティングへの投資負担にも直面している。
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こうした状況では、EVを将来の選択肢として維持するためにも、足元で利益を確保し、開発資金を捻出する必要がある。ハイブリッド車を重視するのはEVを完全に放棄するためではなく、収益と販売台数を支えながら、より手の届きやすいEV戦略を再構築するためといえる。
最大の論点はサプライヤーへの負担
約30%という削減要請は、賃金、原材料、開発コストの上昇に直面するサプライヤーにとって厳しい水準だ。供給企業の利益を圧迫し、再編や統合を促す可能性があるほか、より安価な下位サプライヤー品・中国製部品への依存が進めば、品質管理や供給網の脆弱性、地政学リスクとのトレードオフも生じうる。
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要するにホンダは、EVをハイブリッド車に置き換えるだけではない。調達の標準化と低コスト化、日産とのSDV開発の分担を通じ、EVとハイブリッド車の両方で価格競争力を持てる事業基盤へ立て直そうとしている。成否は、大幅なコスト低減を実現しながら、サプライヤーの技術力、品質、供給網の安定性を損なわずに済むかにかかっている。