結論:中国は「自給自足」よりもまず、供給網の強靱化で前進
中国は、米国の輸出規制が強まるなかでも半導体を生産・供給し続ける力を高めている。特に、国内製の製造装置や主要材料、成熟プロセスの半導体、電力半導体、化合物半導体の分野で進展がみられる。
ただし、これはサプライチェーンの安全性が高まったことを意味するのであって、最先端半導体における完全な技術的自立を示すものではない。先端リソグラフィーや一部の製造装置、AI向けの最先端計算技術では、なお海外への依存が残っている。
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国産の製造装置・材料の採用が拡大
中国の国家発展改革委員会(NDRC)は、国内で生産された半導体製造装置と主要材料の品ぞろえが拡大し、実際の生産現場での採用も増えていると説明している。これは、輸出規制や供給途絶による影響を抑え、必要な部材を国内で代替する力が高まっていることを示す。
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同委員会は、高性能半導体の設計・製造能力も着実に向上しているとし、電力半導体や化合物半導体では、中国企業が独自の競争力を形成しつつあると報告している。先端パッケージングやメモリー分野でも進展が伝えられている。
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単発の成果から「産業エコシステム」へ
中国の政策当局が強調する変化は、単に一部のチップや装置で技術的成果を上げることから、半導体のバリューチェーン全体を連携させることへの移行だ。
対象となるのは、半導体設計、前工程の製造、製造装置、材料、後工程のパッケージング、応用製品、資金、研究開発などである。半導体工場は、上流の装置や薬品、部品、設計ソフト、保守サービス、さらに下流の顧客がそろわなければ、単独では安定稼働できない。こうした相互依存を踏まえ、供給網全体を国内で支える体制づくりが進められている。
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「安全性の向上」と「最先端の完全自立」は別の話
中国側が半導体供給網を「大幅に安全になった」と評価する場合、まず意味するのは、国内生産を継続し、輸入部材の一部を国産品に置き換えられる能力の向上だと考えられる。
それは、米国、日本、オランダ、台湾、韓国などが強みを持つすべての先端技術で中国が同等になったという意味ではない。米国と同盟国・地域による規制は、最先端の露光技術、一部の製造装置、AI向けの先端計算技術へのアクセスを引き続き制約している。
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第15次五カ年計画で「挙国体制」を強化
2026~2030年の第15次五カ年計画では、中国政府は国家機関、国有金融、研究機関、地方政府、民間企業などを連携させる「挙国体制」を活用し、重要技術のボトルネックに資源を集中する方針を示している。
半導体に加え、先端装置、工具、ソフトウェアなど、現在は米国・欧州・日本への依存が残る分野で、自主開発と国内サプライチェーンの構築を優先する。計画が掲げる「決定的なブレークスルー」は、現時点で完了した成果というより、2026~2030年に達成を目指す政策目標だ。
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最大の未解決課題は最先端リソグラフィー
なかでも大きな弱点として残るのが、半導体回路をウエハーに転写するリソグラフィー装置だ。
中国の半導体企業幹部は、2026~2030年の期間に実用可能な国産リソグラフィーシステムを開発するため、国家レベルで協調した取り組みが必要だと訴えている。中国では、EUV光源、ウエハーステージ、光学系など個別要素で進展があるとされる一方、それらを統合して完全な装置として安定稼働させることがなお課題になっている。
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現時点での評価
中国は、輸出規制下でも幅広い半導体を製造・供給し、装置や材料の国内代替を進める能力を高めている。最も明確な成果は、供給網の強靱化と輸入依存の低下だ。
一方、最先端半導体やAI向けチップを支える技術まで完全に国内で完結できることは、まだ実証されていない。したがって現在の中国を評価する際は、「半導体で完全自立した」と見るより、「規制に耐えられる国内エコシステムを急速に拡大している」と捉えるのが適切だろう。
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