決算が示した中国AIチップ業界の変化
2026年上期の決算発表から浮かび上がったのは、中国の国産AI-GPUメーカーが「研究開発を続ける赤字の新興企業」から、売上を伸ばし利益を生み出す事業者へ移行し始めていることだ。赤字幅の縮小や黒字化は、国内企業がAI基盤を支えるという北京の自立戦略を、商業面から後押しする材料になった。
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ただし、3社の株価反応は一様ではなかった。市場は決算の見出しだけでなく、利益が本業から生まれたものか、粗利率を維持できるか、現在の株価が成長を織り込んでいるかまで区別して評価している。
MetaX:3社で最も鮮明な黒字転換
上海上場のMetaX Integrated Circuits(沐曦集成電路)は、上期の売上高が前年同期比44.7%増の13億2,400万元となった。親会社株主に帰属する純利益は6億1,200万元で、前年同期の1億8,600万元の赤字から黒字に転じた。
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上期の粗利率は57.2%で、前年同期から1.1ポイント上昇。第2四半期には売上高が7億6,200万元に達し、非経常項目を除く親会社株主帰属純利益も5,400万元の黒字となった。
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この結果は、MetaXが高い研究開発費を負担する半導体スタートアップから、国産AIチップを実際に販売し利益を上げる企業へ移行しつつあることを示す、3社の中でも最も明確な例といえる。
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Iluvatar CoreX:急成長でも「利益の中身」が焦点に
Iluvatar CoreXは、売上高が前年同期比191.6%増の9億4,570万元、純利益が1億630万元となった。前年同期は6億930万元の赤字だったため、こちらも黒字転換である。非香港財務報告基準ベースの調整後利益は2億4,600万元だった。
主力の汎用GPU(GPGPU)関連売上は231.0%増の9億1,610万元で、全体の96.9%を占めた。特に推論向けチップの売上高は大幅に伸び、製品需要の拡大を印象づけた。
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一方で、報告利益には投資の公正価値評価益など、本業以外の要因も寄与した。粗利率も製品構成の影響で低下しており、今回の黒字がそのまま持続的な営業力を意味するとは限らない。
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そのためIluvatar CoreXは、成長性を期待される「上昇株」として注目されながらも、利益の再現性や利益率の改善が次の評価材料になった。
Biren:黒字化ではなく、赤字縮小と規模拡大
Biren Technologyは依然として赤字だが、事業規模は急速に拡大した。上期売上高は12億3,600万元で、前年同期比約1,998%増。粗利益は5億2,700万元に達し、純損失は3億7,720万元と、前年同期から76%縮小した。
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調整後損失も3億3,700万元に縮小している。 これは、需要の取り込みと売上拡大に伴う営業レバレッジの改善を示す一方、同社が黒字化を完了したことを意味するものではない。
北京の自立戦略にとっての意味
米国製の先端AIチップをめぐる輸出規制が続くなか、中国ではAIチップの調達を国内のGPGPUメーカーへ振り向ける政策的な流れが強まっている。今回の決算は、国内需要が実際の製品販売や導入に結びつき始めていることを示す材料だ。
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もっとも、これらの数字だけでNvidiaとの技術的な同等性や、半導体サプライチェーン全体の自立が証明されたわけではない。チップの性能、ソフトウェア環境、製造・パッケージングなど、長期的な競争力を左右する課題は残っている。
8月31日の株価は明暗が分かれる
決算を受けた8月31日の終値は、MetaXが上海で2.4%高の691.20元となった。黒字転換が素直に好感された形だ。
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Birenは香港で18.8%高の46.62香港ドルまで急伸した。大幅な増収と赤字の急縮小を、投資家が成長加速のシグナルとして評価したとみられる。
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一方、黒字転換を発表したIluvatar CoreXは2.2%安の388.20香港ドルだった。
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12 これは、決算で利益が出たかどうかだけでは株価は決まらないことを示している。高いバリュエーション、粗利率の低下、投資評価益への依存、利益の持続性に対する懸念が、好決算の効果を打ち消した可能性がある。
総じて、今回の決算は中国の国産AIチップ業界に商業化の進展があることを示した。しかし市場の評価は、「国産であること」だけではなく、継続的な本業利益と技術・供給網の実力を伴うかどうかに移りつつある。