2026年2月28日、イスラエルと米国はイランへの共同攻撃を開始した。イスラエル側の作戦名は「轟くライオン(Operation Roaring Lion)」、米国側は「エピック・フューリー(Operation Epic Fury)」とされる。
それから約半年。大規模な軍事作戦はイランの指導部や軍事インフラに深刻な打撃を与えたとみられるが、戦争を終わらせる決定的な合意には至っていない。イランは報復能力を残し、ホルムズ海峡をめぐる緊張が地域と世界のエネルギー市場を揺さぶった。外交も、最も難しい争点を先送りしたまま行き詰まっている。
なぜ攻撃は始まったのか
イスラエルは作戦を「先制的」な対応と位置づけた。イランの核開発の進展、弾道ミサイル戦力、軍の指揮系統、そしてイスラエルに対する敵対姿勢を、イスラエルの存立に関わる脅威とみなしたためだ。イスラエル軍は、共同作戦の目的をイスラエルだけでなく、中東地域と世界に対する脅威を取り除くことだと説明している。
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ロイターによれば、攻撃は核問題をめぐる外交的解決の可能性が危うくなるなかで始まり、米国とイスラエルはイランの核・ミサイル計画を理由に先制攻撃を正当化した。
5 開始直後には、イランの最高指導者アリー・ハメネイ師が殺害されたと、ロイターがイラン国営メディアの報道として伝えた。
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イランはどう報復したのか
イランはイスラエル、米軍、そして米軍基地を受け入れる周辺国などに向け、ミサイルと無人機による攻撃を実施した。ロイターはその後、イランが長距離ミサイルを発射し、イスラエルの核関連施設の近くで数十人が負傷した攻撃も報じている。
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ただし、質問に含まれる「200発以上のミサイルと無人機」「死者11人、負傷者140人」といった具体的な数字は、最も信頼性の高い報道から独立して確認できない。戦時下では、当事国が発表する発射数や被害状況が政治的メッセージとして使われることもあるため、数字は慎重に読む必要がある。
イラン海軍が壊滅したというドナルド・トランプ米大統領の主張と、イラン側のシャフラム・イラニ海軍司令官による反論についても、独立した十分な裏付けは確認できない。現時点では、双方の主張は戦時宣伝の一部として捉えるのが妥当だ。
民間人と地域への影響
戦闘は米国、イスラエル、イランの直接対立にとどまらず、湾岸諸国、米軍関係者、商船、エネルギー関連施設にまで安全保障上のリスクを広げた。
民間人の犠牲も深刻だが、戦闘が続くなかで正確な総数を独立検証するのは難しい。英国BBCは、米国に拠点を置く人権監視団体HRANAの集計として、子ども214人を含む1,407人がイランで死亡したと報じている。
6 イラン当局は、開戦初日の2月28日に南部ミナブの小学校が攻撃を受け、子どもを含む少なくとも168人が死亡したとしている。
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この紛争で特に重要な焦点となったのが、イランとオマーンの間に位置するホルムズ海峡だ。世界の原油や液化天然ガスの輸送に関わる要衝であり、封鎖や航行妨害への懸念は、当事国だけでなく世界のエネルギー供給にも影響する。海峡の再開は、米国が求める主要条件となり、6月の暫定枠組みにも盛り込まれた。
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イラン経済とエネルギーへの圧力
ホルムズ海峡の通航が妨げられたり、その可能性が高まったりすることで、湾岸から輸出される原油やLNGの流れは大きなリスクにさらされた。イランにとっては、湾岸輸出に依存する国々に圧力をかける手段となる一方、自国経済にも戦争と制裁による負担が重くのしかかる。
入手できた情報から、イランで経済的困難が深まり、戦争と制裁の圧力が強まったことはうかがえる。しかし、インフレ率、経済成長の落ち込み、民間人の生活困窮の規模を正確に示すだけの信頼できる資料は確認できない。インフレや経済損失に関する大きな数字は、現段階では断定を避けるべきだ。
なぜ外交は行き詰まったのか
パキスタンとカタールの仲介によって、米国とイランは14項目からなる暫定的な理解にたどり着いた。6月18日に発効した枠組みは、戦闘の停止、ホルムズ海峡の再開、そして60日間で最終合意を目指す協議を想定していた。
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しかし、この合意は最も難しい問題を先送りしていた。主な争点は次の通りだ。
- イランの核計画をどこまで制限するか
- 核施設の検証をどう行うか
- 米国の制裁をどの条件で解除するか
- イランの弾道ミサイル計画を扱うか
- イスラエルの安全保障上の要求をどう位置づけるか
ロイターは当時、暫定枠組みを恒久的な合意へ変える段階がより難しくなると指摘していた。
2 実際、協議は停滞し、合意はその後失効した。
6 トルコ、エジプト、サウジアラビアは対話の仲介や地域の緊張緩和を後押しできるものの、米国・イラン・イスラエルの核心的な対立を埋めることはできなかった。
イスラエルは米・イラン合意を受け入れるのか
イスラエルのエリ・コーエン・エネルギー相は、イランが核計画や弾道ミサイル能力を再建しようとすれば、米国とイランが合意していてもイスラエルは再攻撃すると警告した。
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これは、イスラエルが米国とイランの合意だけでは自国の安全を保証できないと考えていることを示す。報じられた6月の枠組みには、イランの弾道ミサイル計画を制限する規定も含まれていなかったとされる。
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つまりイスラエルは、外交合意の有無にかかわらず、イランの核・ミサイル能力が再建されれば独自に軍事行動を取る権利を保持している。これが、停戦や米・イラン協議だけでは戦争再開のリスクを消せない大きな理由だ。
半年後の現在地――「和平」ではなく不安定な休止
米国の姿勢は、再攻撃を警告する強硬姿勢と、イランが核計画を抑制しホルムズ海峡を再開すれば攻撃を控えるという条件付きの抑制との間で揺れている。
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一方のイランは、外交を続けながら軍事能力も維持していることを、敗北していない証拠として示そうとしている。イスラエルが米・イラン合意に拘束されず独自攻撃を行う構えを見せている以上、仮に新たな合意が成立しても、下がるのは戦争のリスクであって、ゼロになるわけではない。
現時点で最も現実的なのは、包括的な和平合意ではなく、経済制裁、軍事的抑止、ホルムズ海峡をめぐる圧力、断続的な外交によって支えられる不安定な休止状態だ。開戦から半年後も、戦争の「終わり」は見えていない。