2026年8月29日、ガザ中部ディール・アル・バラのアル・アクサ殉教者病院の敷地内で、イスラエルによる攻撃がありました。病院長とパレスチナ側の医療関係者によると、医療物資の保管に使われていたテントが攻撃を受け、3人が負傷しました。3
イスラエル軍は、病院敷地内に潜伏していたハマス軍事部門の司令官を標的にしたと説明しています。司令官はイスラエル軍や市民への攻撃を計画し、ハマスの軍事能力の再建に関わっていたとされます。しかし、公開されている報道では、この人物の身元や軍事活動、病院敷地内にいたことを裏付ける独立した証拠は示されていません。
何が攻撃を受けたのか
病院長のハリル・ダクラン氏は、イスラエルのドローンが医療物資の倉庫として使われていたテントを攻撃したと述べました。負傷した3人は病院で治療を受け、けがの程度は軽いと報じられています。
攻撃地点は、病院の産科部門の裏手にある敷地内、またはその周辺とされています。ここには重要な違いがあります。パレスチナ側の説明では、直接攻撃を受けたのは医療物資を保管する施設です。一方、イスラエル側は、標的は敷地内にいたハマス司令官だったとしています。
アル・アクサ殉教者病院は、ガザ中部のディール・アル・バラにある主要な公立病院で、ガザ中部県の患者を受け入れています。16 そのため、保管施設の損傷は建物の一部にとどまらず、病院で治療を受ける患者や、ガザ各地から搬送される負傷者に使われる医療物資の供給にも影響する可能性があります。
イスラエルは何を標的にしたと説明しているのか
イスラエル軍は、病院敷地内にいたハマスの司令官を攻撃したと発表しました。軍の説明によれば、司令官はイスラエル軍兵士や市民への攻撃を準備し、ハマスの軍事能力を再建していたとされます。
ただし、現在確認できる報道には、司令官の氏名や身元、攻撃計画、病院敷地内での軍事活動を独立に確認する情報は掲載されていません。そのため、イスラエル側の説明は、現時点では独立した事実確認を経ていない軍事上の主張として扱う必要があります。
アル・アクサ病院では以前にも医薬品倉庫が被害に
今回の攻撃は、8月1日に報じられた別の攻撃に続くものでした。この攻撃では、アル・アクサ病院に付属する4つの医薬品倉庫のうち、2つが破壊され、残る2つも大きく損傷したとパレスチナ保健当局が発表しました。13
世界保健機関(WHO)はその後、ガザの医療施設を守るよう求めました。WHOによると、前回の攻撃では不可欠な医療機器や物資が破壊され、WHOが最近届けた物品も被害を受けました。14
これらの報道を合わせると、ガザの医療体制が深刻な圧力を受けている停戦期間中に、アル・アクサ病院の物資保管能力が繰り返し損なわれている状況が浮かびます。個々の攻撃について、標的や死傷者数の説明には情報源ごとの違いがありますが、アル・アクサ病院に関連する医療物資の保管施設が被害を受けたという点は、複数の報道で共通しています。1314
ガザ各地でも攻撃が報告された
8月29日の病院への攻撃と同じ時期に、ガザ各地で別のイスラエルによる攻撃があったと報じられました。パレスチナ側の医療関係者や民間防衛当局は、ガザ市やガザ中部などで死傷者が出たと発表しています。また、北部のカマル・アドワン病院付近でも爆発物、または攻撃があったとの報道が出ています。
これらの死傷者数は、ガザ保健当局や現地の医療関係者による集計です。ガザへの立ち入りや独立した検証が制限されているうえ、報道によって別々の事案の説明が異なるため、個別の数字は独自に監査された確定値ではなく、発表された数として受け止める必要があります。
停戦はどのような状況なのか
攻撃は、2025年10月10日に始まった停戦の履行をめぐる対立が続く中で起きました。パレスチナ側当局は、停戦開始以降、イスラエルの攻撃で1,300人以上が死亡し、4,300人以上が負傷したと発表しています。ただし、現在のアクセス状況では、これらの数字を完全に独立検証することはできません。1012
ガザ情勢を担当する「平和評議会」の高位代表、ニコライ・ムラデノフ氏は、イスラエルとハマスの双方が停戦ロードマップを履行していないことが、停戦の崩壊を招く恐れがあると警告しました。同氏が示す次の段階の主要課題には、ガザの復興、パレスチナ武装組織の武装解除、イスラエル軍の撤退が含まれます。
アル・アクサ病院への攻撃をめぐる対立は、停戦下のガザで続くより大きな問題を映しています。イスラエルは武装組織の標的への攻撃だと説明し、パレスチナ側の当局や病院関係者は、民間・医療インフラへの攻撃だと訴えています。標的とされた人物の存在や、敷地内で軍事活動が行われていたことを独立に確認できる証拠がない現状では、公開情報だけで双方の主張の食い違いを決着させることはできません。
2023年以降の累計被害
ガザ保健省は、2023年10月以降、7万3,000人を超えるパレスチナ人が死亡し、17万4,000人以上が負傷したと発表しています。これはガザの保健当局による公式集計であり、独立機関が最終監査した確定値ではありません。がれきの下に取り残された人々についても報告されています。10
アル・アクサ病院への今回の攻撃が重い意味を持つのは、3人が負傷したことだけではありません。脆弱な停戦のさなか、患者や負傷者の治療を支える病院の医療物資保管能力が損なわれたためです。現時点で確認できるのは、攻撃が起きたこと、3人が負傷したこと、そして標的をめぐってイスラエル側と病院側の説明が異なることです。ハマス司令官が実際に病院敷地内にいたことや、敷地が軍事活動に使われていたことを、イスラエル側の主張だけから独立に確認することはできません。