2日連続の攻撃で、キーウの日常が止まった
ロシアは8月28日、首都キーウと周辺地域を中心に、無人機による攻撃を2日連続で続けた。攻撃は住宅地だけでなく、倉庫、配送拠点、港湾・産業施設などにも及び、通勤や商業活動、救助作業を大きく妨げた。攻撃中に発表された被害や死傷者の情報には、今後修正される可能性がある暫定的なものも含まれている。19
前日の8月27日、キーウでは戦時下で1日あたり最多となる13回の空襲警報が記録された。市内が警報下に置かれた時間は合計でほぼ15時間に及び、翌28日も無人機が繰り返し飛来したことで、市民は何度も避難施設に戻ることを余儀なくされた。1418
キーウ州で住宅や倉庫に被害、死傷者も
キーウ州では、無人機が十数棟の集合住宅や保管施設を直撃したとウクライナ側が発表した。キーウ郊外では少なくとも1人が死亡したとされ、ブチャ地区では住民の避難、負傷者の発生、救助活動が報じられた。49
攻撃の影響は、建物の損壊にとどまらない。大規模な火災が発生し、消防・救助隊は鎮火と住民の救出を進めながら、次の攻撃にも警戒しなければならなかった。
救助隊を狙う「二重攻撃」
ウクライナ当局は、最初の攻撃を受けた現場に救助隊が到着した後、同じ地域を再び攻撃する「二重攻撃」のパターンが確認されたと説明している。
ウクライナ国家非常事態庁によると、夜間の攻撃後、キーウ州では日中にも28回の攻撃があった。消防士らは火災の消火中に新たな攻撃の危険が迫るたび、安全な場所へ退避することを繰り返したという。1015
ノバ・ポシュタの拠点破壊、食品物流への打撃
物流網への攻撃も今回の特徴だ。ウクライナの大手配送会社ノバ・ポシュタは、ロシアの攻撃によって配送拠点が破壊されたと発表した。小売業者の配送・保管施設も被害を受けており、攻撃が市民向けの供給網を圧迫している。1
ウクライナの農業相は、国内の小売チェーンが運営する食品物流の約90%が破壊されたとの見方を示した。ただし、この数字は小売チェーンの食品物流能力を指すもので、国内にあるすべての商業用保管施設の90%が失われたという意味ではない。1
経済面では、インフラ被害を背景に、2026年の国内総生産(GDP)成長率見通しが1.3%から0.8%へ引き下げられたと報じられている。ただし、この見通しの修正が今回の倉庫攻撃だけによって生じたとする根拠は、現時点では示されていない。7
ヘルソンでは熱電併給施設が機能を喪失
南部ヘルソンでは、ロシア軍が滑空爆弾で市の熱電併給(CHP)施設を攻撃したと報じられた。攻撃により、熱と電力を生み出す設備がすべて破壊されたとされる。1620
冬が近づくなか、電力だけでなく集中暖房の供給にも不安が広がる。頻繁な攻撃にさらされてきたヘルソンでは、特に住民の避難や暖房確保が大きな課題となっている。
ウクライナもロシアのエネルギー施設を攻撃
ウクライナは報復として、ロシア国内のエネルギー関連施設への長距離攻撃を続けている。ウクライナ側によると、8月6日の無人機攻撃では、モスクワから北東へ約250キロ離れたスラブネフチ・ヤノス(ヤロスラブリ)製油所で火災が発生した。また、バシコルトスタンのバシネフチ・ノボイル製油所も攻撃したと発表している。34
ゼレンスキー大統領は、長距離攻撃用無人機の生産・運用を現在の推定約300機から、1日1,000機へ増やす目標を示した。ウクライナ側は、この能力拡大によってロシアの軍需産業やエネルギー基盤にコストを負わせる狙いを示している。8
今回の連続攻撃は、ロシアが軍事施設だけでなく、住民の生活を支える住宅、物流、電力、暖房の基盤にも圧力をかけているとの懸念を強めた。一方、ウクライナもロシアのエネルギー施設を標的にしており、相互の長距離攻撃が激しくなっている。