Xiaomiの2026年4~6月期は、スマートフォン事業が「台数」と「利益率」の両面で打撃を受けた四半期だった。調整後純利益は前年同期比約43%減の62.2億元(約922百万ドル)、売上高は6.1%減となり、利益は3四半期連続で減少した。23
核心にあるのは、AI向けデータセンターを背景とした世界的なメモリ不足だ。メモリメーカーは、供給を確保するために高い価格で複数年契約を結ぶ大口のAI事業者を優先し、スマホメーカーは調達難とコスト上昇にさらされた。10
メモリ不足が利益を押し下げた構図
部品コストの上昇: AI関連需要がメモリの供給を吸収し、スマホに使われるメモリやその他の主要部品の価格が上昇した。Xiaomiでは、販売価格への転嫁がコスト上昇に追いつかず、スマホの利益率が圧迫された。23
供給者側の優先順位: AIシステムを構築する大手企業は、プレミアム価格や長期契約によって生産能力を先に確保できる。一般消費者向け機器メーカーは、限られた供給をより高い価格で調達せざるを得なくなった。10
値上げと需要減: Xiaomiは価格を引き上げ、より高価格帯の製品へ商品構成を寄せた。しかし、価格に敏感な消費者が多い中・低価格帯では、値上げが購入見送りや買い替え延期につながった。世界のスマホ出荷台数も第2四半期に11%減少し、2013年以降で同時期として最低水準となった。510
出荷台数は26.5%減、売上減を抑えきれず
Xiaomiのスマホ売上高は7.5%減の421億元、出荷台数は26.5%減の3,120万台となった。4 世界の主要5ブランドの中でも、Xiaomiの落ち込みは最大級だった。200ドル未満の製品が出荷の半分超を占めるため、メモリ価格の上昇がエントリー層や新興国市場の需要に響きやすかったとみられる。
出荷減には、単なる需要不振だけでなく、Xiaomi自身の判断も含まれている。同社は利益率の低い中・低価格帯モデルの出荷を抑え、商品構成を見直した。高価格帯へのシフトによってスマホの平均販売価格は過去最高となったものの、失われた台数を補うには至らなかった。24
つまり今回の減益は、次の三つが重なった結果だ。
- メモリなど主要部品の価格上昇
- 値上げによる価格敏感層の需要減
- 低価格帯の出荷を抑えたことによる販売台数の急減
そこに中国国内外での競争激化や、消費者補助金の縮小によるエレクトロニクス需要の弱さも加わった。5
スマホ依存を薄めるEV戦略、その光と影
Xiaomiはスマホ、AIoT(人工知能を組み込んだIoT機器)、EVを組み合わせたエコシステムを成長戦略の柱としている。スマホのユーザーをウェアラブル端末や家電、車へつなげられる点は強みだが、同時に、資本負担の大きい自動車事業へ投資を続けながら、従来の高ボリューム・低価格型スマホ事業の立て直しも迫られる。37
明るい材料もある。Xiaomiの第2四半期のEV納車台数は10万4,199台で、前年同期比28.2%増となった。26 また、同社は世界スマホ市場で24四半期連続のトップ3を維持しており、高価格帯モデルの比率も改善している。26
さらに、Xiaomiはバッテリーだけで走るEVに加え、発電用エンジンで航続距離を補うレンジエクステンダー型のSUV「SkyNomad」シリーズを展開する。大型ファミリーSUVという新たな市場を狙い、来年には欧州投入も計画している。17
なぜ投資家は悲観していないのか
決算は弱かったにもかかわらず、Xiaomiの香港株は6月末からおよそ20%上昇した。背景には、投資家が今回の減益を一時的なコストショックと見ていることがある。26
同社は、メモリ価格の上昇ペースが2026年後半に鈍化し、スマホ事業へのコスト圧力のピークは過ぎつつあるとの見方を示している。12 その見通しが正しければ、部品コストの安定と高価格帯モデルの販売拡大によって、スマホの利益率は改善する可能性がある。
ただし、株価上昇は将来への期待を織り込んだものであり、持続的な利益回復を証明するものではない。EV事業が売上高を押し上げても、競争の激しい自動車市場で十分な利益を確保できるかは別の問題だ。
今後の成長を左右するポイント
高価格帯スマホが値上げを吸収できるか
高価格帯モデルが好調なら、出荷台数が低迷しても平均販売価格と粗利益を守れる可能性がある。一方、メモリ価格が再び上昇したり、追加値上げが必要になったりすれば、需要がさらに冷え込むリスクがある。24
SkyNomadが新たな販売エンジンになるか
SkyNomadは、XiaomiのEVラインアップを大型ファミリーSUVへ広げる試みだ。国内市場で販売が伸びれば、スマホ低迷を補う新たな収益源になり得る。17 しかし、中国の自動車販売は7月まで10カ月連続で前年割れしており、値下げ競争や車両利益率の低下が続く可能性がある。18
海外EV展開に伴うコストと規制
欧州など海外市場への進出は需要を分散させる機会になる。一方で、関税、現地での認証、安全基準への適合、中国製EVに対する規制当局や市場の厳しい scrutiny(審査・監視)は、発売を遅らせたりコストを増やしたりする可能性がある。現時点で、これらの障壁がXiaomiの財務に最終的にどの程度影響するかは明らかになっていない。
まとめ
Xiaomiの6月期の減益は、AIブームがもたらしたメモリ不足が、低価格帯スマホへの依存度が高い同社を直撃した結果だ。部品高、需要減、競争激化に加え、同社自身が中・低価格帯の出荷を絞ったことで、スマホの出荷台数は大きく落ち込んだ。
今後の回復に必要なのは、かつての低価格スマホの台数をそのまま取り戻すことだけではない。高価格帯スマホで利益率を守り、SkyNomadを含むEV事業を規模のある、規制にも対応した事業へ育てられるかが問われる。メモリ価格の上昇が落ち着くか、そして高級スマホとEVが減少した低価格帯の売上を本当に埋められるかが、Xiaomiの次の成長局面を決めることになる。