百度の2026年第2四半期決算は、検索広告を柱としてきた同社がAI企業へ転換する過程で直面する、成長と収益性のねじれを浮き彫りにした。
売上高は前年同期比4%減の313億3,000万元で、アナリスト予想の319億6,000万元を下回った。純利益は23億2,000万元と、前年同期の73億元から68%減少。利益は3四半期連続で半分以下となり、売上高も5四半期連続の減収となった。29101113
調整後の1ADS当たり利益も7.22元にとどまり、市場予想の9.84元を大きく下回っている。814
旧来の広告事業がなお業績を左右する
百度の従来の収益基盤であるオンラインマーケティングサービスの売上高は131億元で、前年同期比19%減となった。ユーザーの関心をめぐる競争が激しくなったことに加え、同社はAI検索の設計を見直すなかで、収益化を意図的に遅らせていると説明している。47
ここに、AI転換の財務的な難しさがある。検索広告は、これまで比較的安定したキャッシュを生む事業だった。一方、AIモデルやクラウド基盤、アプリケーションの開発には、サービスが十分な規模と利益率に達する前から大規模な投資が必要になる。245
百度はいま、短期的な広告収入を守ることと、長期的にAIを中心とした検索サービスを育てることを同時に進めなければならない。AI検索をすぐに広告で最大限収益化すれば、利用体験や製品の質を損なう可能性がある。しかし収益化を抑えれば、従来事業の縮小をさらに鮮明にすることになる。
AI事業は大きく伸びたが、まだ穴を埋め切れない
百度コアAI事業の売上高は125億元で、前年同期比25%増となった。これは百度の一般事業売上高の50%に相当する。AIはもはや周辺的な実験ではなく、同社の事業構成の中心に入りつつある。35
特に伸びが目立ったのはAIインフラだ。AIクラウドインフラの売上高は73億元で50%増。なかでもGPUクラウドは前年同期比283%増となった。企業がAIサービスを導入する際に必要となる計算資源への需要が拡大していることを示す数字だ。3517
ただし、ある事業の高成長が別の事業の落ち込みを自動的に相殺するわけではない。百度の一般事業売上高は252億元で、前年同期比4%減だった。AI事業の拡大は確かなものだが、会社全体の縮小を反転させるにはまだ至っていない。6
なぜAIの売上成長が利益回復につながらないのか
百度は基盤モデル、AIクラウド、AIアプリケーション、独自チップ、自動運転に投資している。検索によるユーザー接点やデータを、AIサービスを大規模に提供するためのインフラや技術と結び付ける構想だ。15
しかし、クラウドの設備増強、モデル開発、チップ設計、自動運転システムには先行費用と実行リスクが伴う。将来的には、広告よりも継続性の高い大規模事業へ育つ可能性がある一方、利益への貢献は広告収入ほど早く現れない。
第2四半期の数字から確認できるのは、AIクラウドとコアAI事業が商業的な勢いを得ていることだ。だが、それらが従来の検索広告モデルが生んできた利益を完全に置き換えたことを示す材料は、まだ見えていない。135
自動運転と独自チップは長期戦の布石
自動運転とチップ設計は、検索広告のすぐ代わりになる事業というより、長期的な成長領域として位置付けられている。自動運転はAIを現実世界のサービスへ展開する手段であり、独自AIチップ「昆仑芯(Kunlunxin)」は、AI処理を支えるハードウェアまで事業領域を広げる取り組みだ。1
つまり百度が目指しているのは、検索に生成AIの機能を追加するだけではない。モデル、クラウドインフラ、アプリケーション、チップ、モビリティを一体化したAIプラットフォームの構築である。技術スタックをより広く自社で管理できれば、収益化の経路も増える。一方で、必要な資本は増え、投資回収までの期間も長くなる。13
第2四半期決算が示す百度の現在地
今回の決算は、百度のAI戦略が失敗したことを示しているわけではない。ただし、その戦略がまだ完成途上であることは明確だ。
コアAI事業の売上高は一般事業の半分に達し、AIクラウドへの需要も急速に伸びている。その一方で、オンラインマーケティング収入は約5分の1減少し、全社売上高は5四半期連続で減収、利益も前年を大きく下回った。35913
焦点は、百度がAIに投資しているかどうかではない。AIクラウド、アプリケーション、独自チップ、自動運転を、広告事業の縮小を補える速度と利益率で拡大できるかどうかだ。
第2四半期の結果からは、AI転換の部品が事業として意味のある規模に近づいていることが分かる。しかし現時点では、縮小する旧来の広告事業の規模と利益を、新しいAIプラットフォームの成果がまだ上回れていない。235