NVIDIAの2027年度第2四半期決算は、AI向けコンピューティングへの需要が依然として極めて強いことを示した。7月26日に終了した四半期の売上高は962億ドルで、前年同期比106%増、前四半期比18%増。非GAAPベースの希薄化後1株利益は2.22ドルとなり、2027年度第3四半期の売上高については**1080億ドル、±2%**を見込んでいる。17
ただし、今回の見通しには重要な前提がある。NVIDIAは第3四半期の予想に、中国向けデータセンター・コンピュート売上高を一切織り込んでいない。一方、CFOのコレット・クレス氏は、2028年度の売上高が約70%成長する可能性に言及した。需要に応えるうえでは、引き続き供給能力がボトルネックになるという。
決算の柱はデータセンター事業
NVIDIAの四半期売上高は約962.2億ドルで、アナリスト予想の約921.7億ドルを上回った。調整後1株利益は2.22ドルで、約2.10ドルとされていた市場予想を上回った。
AIインフラ事業の中心であるデータセンター部門の売上高は890億ドル。前年同期比117%増となり、アナリスト予想の約863.3億ドルも上回った。17
GAAP、非GAAPの売上総利益率はいずれも75.0%。GAAPベースの希薄化後1株利益は2.46ドル、非GAAPベースでは2.22ドルだった。17
投資家にとって最も重要なのは、四半期売上高の大部分をAIワークロード向けの製品やシステムが生み出している点だ。これは、NVIDIAの成長が全事業の幅広い回復というより、AIデータセンター投資に強く支えられていることを意味する。
第3四半期は売上高1000億ドル超へ
NVIDIAは2027年度第3四半期の売上高を**1080億ドル、±2%**と予想している。金額の範囲にすると、およそ1058億ドルから1102億ドルとなる。この見通しは、決算報道で示された市場予想を上回った。17
ただし、この予想には中国からのデータセンター・コンピュート売上高が含まれていない。これは、中国向けの将来の販売を否定したという意味ではなく、米国の輸出規制が続くなかで、今回の見通しに中国向け売上高を算入しなかったということだ。17
この点から、今回のガイダンスには2つの意味がある。第一に、中国向けデータセンター売上高を見込まなくても、NVIDIAは四半期売上高1000億ドル超を予想している。第二に、需要の強さだけでなく、先端製品をどの地域に販売できるかという地政学的な制約も、今後の成長を左右する。
2028年度の70%成長予想、実現を左右する供給能力
決算説明会でクレス氏は、NVIDIAが2028年度に約70%の売上高成長を見込んでいると説明した。アナリスト予想はおよそ44%で、会社側の示唆は市場予想を大きく上回る。クレス氏は顧客側の見通しがさらに強い成長を示している可能性にも触れたが、今回の数字は供給制約を反映しているという。
制約はGPU単体の在庫だけに限られない。NVIDIAは、先端パッケージング、メモリー、ネットワーク機器、完成したAIシステム全体の供給能力を同時に確保する必要がある。ジェンスン・フアンCEOは、70%成長の見通しを支えるだけの供給を確保していると述べたが、短期的な成長ペースを決める要因が生産能力であることに変わりはない。
投資家の関心は、「顧客がさらにAI計算能力を欲しがっているか」から、「NVIDIAと製造パートナーが、その需要を想定したペースと利益率で満たせるか」へと移りつつある。
株価や市場の反応はどうだったか
決算発表直後、NVIDIA株は時間外取引で大きく動いた。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道では、ナスダック先物が約0.91%上昇し、ビットコインも直後の市場で約1.25%高となった。
その後、962億ドルの売上高、2.22ドルの調整後1株利益、強い業績見通しを受け、NVIDIA株は時間外で約4%上昇したと報じられた。別の報道では、テクノロジー株先物の上昇とともに、同社株がプレマーケット取引で上昇した。
もっとも、こうした動きは短期的な市場反応であり、すべてのAIインフラ関連企業やビットコイン・マイニング企業が同じように恩恵を受けたことを示すものではない。より持続的な意味合いは、NVIDIAの決算がAI向け設備投資サイクルにとって新たなポジティブ材料になったことにある。
ビットコイン・マイナーのHPC転換に与える示唆
一部のビットコイン・マイニング企業は、保有する電力容量やデータセンター施設を、高性能コンピューティング(HPC)やAI向けホスティングに転用できるか検討している。NVIDIAの決算は、AI計算能力への需要が長期化する可能性を改めて示し、こうした事業転換の戦略的な魅力を高める材料になり得る。
ただし、転換が自動的に進むわけでも、企業価値の上昇が保証されるわけでもない。HPC戦略を検討するマイナーには、適切なGPU、資金調達、安定した電力契約、顧客との契約、必要な冷却・ネットワーク設備に対応できる施設が必要になる。施設の改修や転用の採算は、稼働率、運営費、ホスティング契約の条件にも左右される。
したがって、NVIDIA決算と個別のビットコイン・マイニング株の関係は、直接的な業績連動というより、インフラ需要が波及する可能性を示す材料と捉えるのが適切だ。利用可能な報道から、マイニング企業全体に共通する株価反応を確認することはできない。
Hugging Face買収報道はまだ未確認
NVIDIAがオープンソースAIプラットフォームのHugging Faceを約129億ドルで買収することで合意したとの報道も出ている。CNBCは、事情を知る関係者が、買収が最近および継続中の協議の一部だったことを確認できると伝えた。一方、NVIDIAとHugging Faceは、利用可能な報道の時点で取引を公式には確認していない。3
別の報道では、両社が真剣な協議を進め、企業価値が約130億ドルとなる可能性が示された。ただし、署名済みの合意には至っておらず、交渉が決裂する可能性もあるという。14
現時点で最も正確な表現は、報道された買収候補であり、完了した買収ではないというものだ。確定した取引条件、最終的な成立日、NVIDIAがHugging Faceを買収したことを裏付ける公表規制当局提出書類は確認されていない。
NVIDIAにとってHugging Faceが重要な理由
Hugging Faceは、オープンソースAIモデル、データセット、開発者向けツールを共有・協業するための主要なプラットフォームとして位置づけられている。買収が実現すれば、NVIDIAはチップ、ネットワーク、データセンターシステムに加え、AIモデルの開発・共有・展開を担うソフトウェアと開発者の領域にも影響力を広げられる可能性がある。35
戦略面では、AI開発者との関係を深め、オープンモデルをNVIDIA製ハードウェア向けに最適化し、カスタムAIアクセラレーターとの競争が強まるなかで開発者エコシステムを強化する効果が考えられる。ただし、これは可能性の分析であり、NVIDIAが具体的な統合計画を発表したわけではない。実際の効果は、Hugging Faceのプラットフォーム、コミュニティ、オープンソース環境をどのように運営するかにかかっている。
報道された買収価格が注目を集めるのは、Hugging Faceの年間換算売上高が約1.5億ドルとする報道もあるためだ。67ただし、取引自体が未確認で、買収条件も明らかになっていない。売上高倍率や規制上の影響については、現段階では暫定的な評価にとどめる必要がある。
投資家が次に注目するポイント
今後は、決算の見出しだけでなく、次のシグナルが重要になる。
- 通常取引での株価動向: 時間外の上昇が、バリュエーション、利益率、中国向けコンピュート売上高の除外を織り込んだ後も続くか。
- アナリスト予想の修正: 第3四半期の1080億ドルという見通しや、2028年度の70%成長見通しを受け、売上高予想や目標株価がどう変わるか。
- 供給の実行力: 先端パッケージング、メモリー、ネットワーク、完成AIシステムの供給を拡大しながら、ボトルネックや利益率の低下を避けられるか。
- 顧客側の投資回収: NVIDIAへの需要が強いことだけで、すべての顧客のAI投資が十分な収益を生むとは限らない。実際の導入状況と収益化が引き続き焦点になる。
- Hugging Face買収の確認: 法的拘束力のある合意の有無、最終価格、取引構造、統合計画、規制審査の可能性が明らかになるか。
NVIDIAの第2四半期決算は、AI市場が求めていた数字を示した。大幅な売上高の上振れ、市場予想を上回る次期見通し、そして異例ともいえる長期成長シグナルだ。
一方で、中国向け売上高は短期見通しから除外され、供給能力が拡大のペースを制限している。さらに、Hugging Face買収報道もまだ公式確認には至っていない。強い数字の裏側にあるこれらの条件こそ、今後のNVIDIAを見極めるうえで重要になる。