NVIDIAの中国市場への「再進出」は実現したものの、規模はごく小さかった。同社は2027年度第2四半期にH200人工知能(AI)チップを中国の顧客へ出荷したが、米国政府の輸出許可で認められた数量には届かなかった。背景には、中国当局による購入・輸入制限があり、米国側の許可だけでは通常の販売に戻れない状況が続いている。23
中国でH200を購入できた企業と数量
入手できる情報によると、ByteDance(バイトダンス)とTencent(テンセント)がH200の購入を認められた企業に含まれていた。報道では、両社にそれぞれ最大7万5,000基の購入枠が設定され、実際には各約1万基が出荷されたとされる。6
ただし、購入を認められた企業の正確な一覧や、実際の出荷数については、今回提供されたより信頼度の高い一次情報源による独立検証ができていない。そのため、これらの企業名や数量は「報道ベースの情報」として扱うのが妥当だ。6
なぜ出荷は遅れ、許可枠を下回ったのか
H200は米国の輸出許可の対象となった一方、中国当局が米国製AIチップの購入を問題視し、販売や輸入を制限した。結果として、NVIDIAは許可された全数量を納入できず、出荷は遅延。中国向けH200の売上高は、同社の2027年度第2四半期のデータセンター売上の1%未満にとどまった。2
需要の減少を受け、NVIDIAは直前の6カ月間に、H200の余剰在庫と購入契約に関連して4億ドルを費用計上した。米中双方の規制に左右される製品をめぐり、販売許可があっても在庫リスクが残ることを示している。2
今後の見通しに中国売上を織り込まず
NVIDIAは次の四半期について、中国からのデータセンター向けコンピューティング売上を見込まない予想を示した。これは中国市場から完全に撤退するという意味ではなく、地政学的な不確実性が続く中で、業績計画に中国売上を組み込むことを避けたものだ。2
また、NVIDIAは大口顧客が自社製AIチップの開発を進めるという戦略的な圧力にも直面している。報道では、中国向けH200の生産を停止し、TSMCの製造能力を次世代プラットフォーム「Vera Rubin」に振り向けたとされる。5 長期的には、規模が読みにくい中国向けH200販売よりも、Vera Rubinの量産と主要顧客のつなぎ止めが重要になる可能性が高い。
好調な決算が中国の弱材料を上回る
中国事業が低調だった一方、NVIDIA全体の決算は非常に強かった。2027年度第2四半期の売上高は962億ドルで、前年同期比106%増。データセンター部門の売上高は890億ドルで、前年同期比117%増となった。7
売上高はアナリスト予想の約922億ドルを上回り、NVIDIAは次の四半期の売上高を1080億ドルと予想した。この見通しも市場予想を上回った。8
決算発表直後、株価はいったん下落したものの、その後の時間外取引では4%超上昇したと報じられている。36 市場にとっては、中国での少量出荷よりも、AIデータセンター向け需要がなお拡大していることの方が大きな材料だった。NVIDIAは今回もウォール街の予想を15四半期連続で上回っており、中国市場の不透明感は、少なくとも今回の決算では中核事業の勢いを打ち消すほどではなかった。3