結論:4億ドルの全額が確定しているわけではない
米司法省は2026年8月、短編動画アプリTikTok、親会社ByteDanceおよび関連企業との間で、子どものオンラインプライバシー保護をめぐる訴訟を解決する和解に合意しました。和解額は最大4億ドルですが、直ちに支払われるのは3億ドルです。残る1億ドルは、裁判所がTikTokの前身Musical.lyに関する2019年の同意判決を取り消す命令を出した場合に限って支払われます。
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和解によって2024年に始まった訴訟は終結します。しかし、企業がCOPPA(Children’s Online Privacy Protection Act、児童オンラインプライバシー保護法)に違反したとの司法判断が示されたわけではなく、TikTokやByteDanceが責任を認めたわけでもありません。
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FTCの調査から2024年の提訴へ
COPPAは、13歳未満の子どもからオンラインで個人情報を集める事業者に対し、保護者への通知と、確認可能な保護者の同意を求める米国の連邦法です。
米連邦取引委員会(FTC)は、Musical.lyの後継サービスであるTikTokとByteDanceを調査し、2024年6月に申し立てを米司法省へ付託しました。調査には、2019年の同意命令をTikTok側が順守しているかの確認も含まれていました。
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司法省はその後、2024年8月にTikTok、ByteDanceおよび関連企業を提訴しました。訴訟では、COPPA違反に加え、2019年の同意命令にも違反したと主張していました。
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司法省が主張した主な問題
司法省の申し立てによると、TikTokでは次のような問題があったとされています。いずれも今回の和解によって確定した事実ではなく、政府側が訴訟で示していた主張です。
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- 通常アカウントの作成: 13歳未満の子どもが、子ども向けに機能を制限した「Kids Mode」に限られず、通常のTikTokアカウントを作成できた。
- 保護者の同意なしの情報収集・保持: 子どもの個人情報を、確認可能な保護者の同意を得ないまま収集・保持した。
- 削除要請への対応: 保護者が子どものアカウントやデータの削除を求めても、要請を確実に処理できなかった。
- 年齢確認とアカウント削除: 13歳未満の利用者を特定し、該当するアカウントや情報を削除する仕組みが十分に機能していなかった。
FTCの2024年の説明でも、TikTokが子どもの情報を収集・利用する前に保護者へ通知し、同意を得るというCOPPA上の要件を満たしていなかったとする主張が示されていました。
支払いは3億ドルが先、1億ドルは条件付き
和解の支払い構造は次の通りです。
| 支払い |
条件 |
| 3億ドル |
和解に基づき直ちに支払う |
| 1億ドル |
裁判所がMusical.lyに対する2019年の同意判決を取り消す命令を出した後に支払う |
そのため、発表上は「4億ドルの和解」ですが、追加の1億ドルは裁判所の手続きにかかっています。発表時点では、同意判決を取り消すかどうかの判断はまだ解決していません。
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背景にあるMusical.lyの2019年案件
TikTokの前身であるMusical.lyは2019年、保護者の同意を得ずに子どもの個人情報を収集したとのFTCの申し立てを解決するため、570万ドルを支払うことに合意しました。当時、COPPAに基づくFTCの民事制裁金として過去最大でした。
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今回の2024年訴訟は、この過去の案件と切り離されたものではありません。FTCによる2024年の調査には、Musical.lyをめぐる2019年の同意命令への順守状況の確認が含まれ、司法省は新たなCOPPA違反に加えて、その命令への違反も主張していました。
TikTok側のその後の変更と、なお不明な点
司法省は、2024年の訴状提出後、TikTokについて所有体制、経営、データ管理、法令順守の体制、プライバシーおよびデータ保存の方針、年齢確認の仕組み、保護者による監督機能などに変更があったと説明しています。
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一方、公開された資料だけでは、これらの変更の具体的な範囲や導入方法、実際の有効性までは詳しく分かりません。また、旧Musical.lyの同意判決を裁判所が取り消すかどうかも未確定です。したがって、今回のニュースで確実に決まったのは訴訟を終わらせる合意と、まず支払われる3億ドルであり、残り1億ドルの支払いは今後の裁判所の命令に左右されます。
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和解が意味すること
今回の合意は、政府が提起した子どものプライバシー保護をめぐる請求を、判決まで争うのではなく和解で終わらせるものです。巨額の支払いが設定された一方で、和解文書自体は、TikTokやByteDanceによる法律違反を裁判所が認定したことや、企業が責任を認めたことを意味しません。
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今後の焦点は、TikTokが示されたプライバシー・年齢確認・保護者向け機能の変更をどのように運用するのか、そして裁判所が2019年のMusical.lyに関する同意判決を取り消し、追加の1億ドルの支払いが発生するのかという点です。