何を売却する計画なのか
シーメンス・エナジーは、ゴールドマン・サックスを財務アドバイザーとして、Transformation of Industry(ToI)部門の過半数持ち分の売却に向け、買い手候補から提案を募る準備を進めていると報じられている。
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売却対象の中心は、工場や発電設備などで使われる産業用蒸気タービン事業だ。これに加え、発電機やコンプレッサーなどの事業もToI部門に含まれる。報道によると、売却後もシーメンス・エナジーが約40%を保有し、残る約60%を外部投資家に売却する案が検討されている。
ただし、現時点で確定した売買契約が発表されたわけではない。監督取締役会は2026年8月25日に臨時会合を開き、売却プロセスをどのように進めるかを判断する予定だった。
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評価額は100億ユーロ超か、候補企業は
ToI部門全体の評価額は、入札次第で100億ユーロ超となる可能性がある。
6 CVCキャピタル・パートナーズとEQTが有力候補として挙げられているほか、ベイン・キャピタル、ブルックフィールド、KKRも買収提案を検討していると伝えられている。
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もっとも、これは現段階の報道に基づく想定評価額だ。最終的な価格は、拘束力のある入札の水準だけでなく、債務やその他の負債、買収資金の調達条件、そしてシーメンス・エナジーが保有する40%の価値をどう評価するかによって変わる。
ToI部門の規模
ToI部門は、シーメンス・エナジーの中では比較的景気循環の影響を受けやすく、利益率の低い事業として位置づけられてきた。一方で、規模は小さくない。報道によると、直近6カ月の売上高は27億ユーロで、グループ売上高の13.5%に相当する。従業員数は約1万7,000人に上る。
同社ではこれまで、ToI部門をスピンオフ、あるいは新規株式公開(IPO)によって切り離す案も取り沙汰されていた。事業を分離すれば、低い利益率や景気変動の影響を受けやすい事業と、成長性の高い中核事業を分けられるほか、株主価値を引き出せる可能性があるためだ。
今回の過半売却案は、完全な分離と現状維持の中間にあたる。シーメンス・エナジーは経営上の影響力を一定程度手放しながら、ToIの持ち分を40%残すことができる。
売却の狙いは送電網とガスタービンへの集中
ToIを切り離すことになれば、シーメンス・エナジーは、送電網関連のGrid Technologiesと、ガスタービンなどを手がけるGas Servicesに経営資源を集中しやすくなる。
両事業は、電力網への投資拡大や、人工知能(AI)向けデータセンターの建設に伴う電力需要の増加から恩恵を受けている。シーメンス・エナジーは、データセンター需要や中東の発電プロジェクトを背景に、売上高、受注高、利益率で過去最高となる四半期実績を報告した。
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このため今回の検討は、単なる事業売却というより、成長市場に軸足を移すためのポートフォリオ再編とみられている。
株価は小幅上昇も、過去最高値には届かず
報道を受け、シーメンス・エナジー株はドイツ市場の早朝取引で約1.4~1.6%上昇し、1株約151ユーロまで上げた。
6 ただし、52週高値の195.38ユーロからはなお約23%下の水準にある。
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株価の反応は、投資家が売却構想を前向きに受け止めたことを示す一方、取引成立や100億ユーロ超の評価額を織り込んだ本格的な再評価には至っていない。監督取締役会の判断と、実際の入札価格が次の焦点となる。
アナリストの見方と評価額の比較
バーンスタインはシーメンス・エナジー株について「Outperform(アウトパフォーム)」相当の見方を維持し、目標株価を210ユーロとしている。
6 RBCキャピタル・マーケッツも「Outperform」を維持したが、目標株価は210ユーロから200ユーロへ引き下げた。
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ToIの評価額100億ユーロ超という報道は、RBCが以前示していた同部門単独の評価枠組みより強気な水準とみられる。ただし、両者は前提条件が異なるため、報道されている評価額をそのまま株主価値に置き換えることはできない。
Gamesa黒字化と自社株買いも進行
事業再編の議論が進む一方、シーメンス・エナジーの業績面では改善材料も出ている。風力発電子会社のシーメンス・ガメサは、2022年度第4四半期以来初めて、四半期ベースでプラスの業績となった。
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また同社は、最大60億ユーロを2028年度までに買い戻す計画の一環として、約10億ユーロ規模の自社株買い第2弾を8月14日に完了した。
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今回の売却計画が正式に承認されるか、そしてPE投資会社からの入札が100億ユーロ超という評価を裏付けるかは、まだ不透明だ。報道時点で、シーメンス・エナジーは拘束力のある取引を公表していない。