台湾・基隆地方検察署は、Nvidia製の規制対象チップを搭載したSuper Micro製の高性能AIサーバーを、偽の出荷・輸出書類を使って中国などへ迂回輸出した疑いで、9人を起訴した。被告にはNvidia台湾法人の従業員1人と、Super Micro台湾法人の従業員2人が含まれるという。
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ただし、起訴内容は検察側の主張であり、現時点で有罪が確定したことを意味しない。
検察が主張する仕組み
最終的な起訴内容に関する報道によると、被告らはNvidiaとSuper Microが厳格な輸出管理手続きを設けていることを認識しながら、流通網の複数の段階で協力し、規制を回避した疑いがある。検察は、被告らが虚偽の説明を用いて130台のサーバーを入手し、そのうち74台が第三国経由または直接、中国へ輸出されたと主張している。残る56台は税関当局が差し止めた。
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この台数は、事件発覚当初の報道より増えている。5月に始まった捜査では、当初、およそ50台、総額1,500万ドル超のサーバーが焦点となっていた。これらは偽の申告を使い、台湾から香港、さらに中国へ向けて出荷された可能性があるとみられていた。その後、捜査対象となる人物や企業、出荷分が増え、事件の規模が拡大した。
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輸送経路の偽装が、この事件の重要なポイントだ。報道によれば、サーバーは日本やインドネシアなどの中継国を経由したほか、中国へ直接送られたケースもあったとされる。偽造書類は、実際の最終仕向地を隠し、社内の販売審査や輸出規制をすり抜けるために使われた疑いがある。
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5月から7月へ――捜査の経過
5月:3人を拘束
基隆地検が事件を公表したのは2026年5月だった。台湾人男性3人が、先端Nvidiaチップを搭載したSuper Micro製AIサーバーを香港、場合によっては中国へ輸出するため、書類を偽造した疑いで拘束された。検察が偽造などの容疑を示した後、裁判所は拘束を認めた。
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6月末から7月初め:捜索とSuper Micro従業員の拘束
6月29日、捜査当局はSuper Microの台湾事業、関係者の自宅、関連企業などに対象を広げて捜索した。報道では、Super Microの台湾拠点のほか、販売代理店Albatron Technologyやデータセンター運営会社Chief Telecomに関係する複数の場所が捜索対象となったとされる。捜査対象者は、それまでの3人から9人に増えた。
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Super Microは、台湾法人の従業員2人が裁判所の審理まで拘束され、別の2人が事情聴取後に保釈されたと説明した。
17同社は、法律や社内方針への違反を一切容認しない姿勢を示し、台湾当局に協力しているとした。また、台湾拠点そのものが当局の捜索を受けたとの報道については否定し、当局から自社は捜査対象ではないと確認を受けたと説明した。
7月:Nvidia従業員も拘束
7月24日、捜査当局は、姓がChangと伝えられたNvidia従業員の自宅と勤務先を捜索した。検察はその後、逃亡や証拠隠滅、他の容疑者との口裏合わせのおそれがあるとして、身柄の拘束を認めるよう裁判所に求めた。容疑には、刑法上の業務文書偽造が含まれるとされた。
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8月の起訴時点で、事件は当初の3人に対する捜査から、NvidiaとSuper Micro双方の従業員に加え、社外の関係者も関与したとされる9人の事件へと発展していた。
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企業側の説明
Super Microは捜査に協力しているとし、問題は個々の従業員や関係者に関するものであり、会社自体が捜査対象として明示されたわけではないと強調した。報道によると、同社は一連の捜査で事情聴取を受けた従業員を自宅待機などの措置にした。
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起訴が報じられた時点で、NvidiaはReutersの取材に直ちにはコメントしなかった。
1従業員や関係者が起訴されたという事実だけで、NvidiaやSuper Microという法人の刑事責任が成立したとする根拠は、現在の報道からは確認できない。
3月の米国起訴との関係
台湾での捜査は、2026年3月に米国連邦当局がSuper Micro関係者3人を起訴した後に始まった。米司法省は、共同創業者のYih-Shyan(“Wally”)Liaw、台湾拠点の幹部Ruei-Tsang(“Steven”)Chang、仲介業者のTing-Wei(“Willy”)Sunの3人が、少なくとも25億ドル相当の米国製AI技術を輸出法に違反して中国へ迂回させることに関与したと主張している。
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もっとも、台湾の事件と米国の事件は同一の刑事事件ではない。現在確認できる報道からは、同じサーバーが対象になっているのか、全ての被告が両方の事件に登場するのかは明らかになっていない。共通するのは、先端Nvidiaチップを搭載したAIハードウェアを、仲介業者や別の輸送経路、誤解を招く書類を通じて中国の顧客へ移した疑いが持たれている点だ。
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なぜ「書類偽造」が重要なのか
第三国を経由させる迂回輸出では、実際の顧客、最終使用者、最終仕向地を正確に把握できるかが、取り締まりの弱点になりやすい。これらの情報が偽られると、承認された市場向けの貨物に見せかけながら、最終的には規制対象地域へ転送することが可能になる。
米国の規制は、許可なしに先端Nvidia AIチップを中国へ輸出することを制限しており、規制の運用は最終用途や仕向地に関する正確な情報にも依存している。
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台湾当局も、米国の措置との足並みをそろえ、先端ハードウェアの迂回輸出に対処する法的手段を増やすため、中国向けAIチップ販売の規制を大幅に強化する案を検討していた。
18そのさなかに、偽の申告書類を中心とする事件が起訴されたことは、台湾の取り締まりがハードウェア本体だけでなく、国境を越えた移転を可能にしたとされる書類や社内統制の不備にも向けられていることを示している。
今回の事件が示すのは、輸出管理がサプライチェーン全体の信頼性にますます左右されるということだ。チップはある国・地域で製造され、別の場所でサーバーに組み込まれ、販売代理店を通じて販売され、さらに第三国を経由して運ばれる可能性がある。基隆地検の起訴内容では、被告らが偽の書類でその流れを隠し、従業員と社外関係者が協力して制度の隙間を利用したとされている。