2026年8月19日、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスで暗号資産・金融業界の幹部らと会合を開き、議会に対して暗号資産市場の包括的なルールを定める「CLARITY Act」の成立を促した。
トランプ氏は、法案について「公正な内容の」案を成立させるよう求め、明確な規制が暗号資産分野のイノベーションを後押しし、米国が中国などに先行し続けるために必要だと主張した。
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ただし、法案の最大の売りである「規制の明確化」は、どのような制度設計にするかという政策論争や、政府関係者が暗号資産で利益を得ることを認めるのかという倫理問題にぶつかっている。上院で審議が進まないなか、SECとCFTCは既存の権限を使い、自ら規制の枠組みを形作ろうとしている。
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トランプ氏が議会に求めたこと
トランプ氏は、暗号資産業界を包括的な議会制定法なしの状態に置かず、CLARITY Actを速やかに前進させるよう議員に求めた。主張の柱は経済面と地政学面の二つだ。
明確なルールがあれば、暗号資産取引所や発行企業は法令上の義務を予測しやすくなり、米国で新たなデジタル資産ビジネスを展開しやすくなる。トランプ氏はさらに、法案が米国の技術面での優位を維持し、次世代のイノベーションを呼び込むと訴えた。
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暗号資産企業にとっても、法案は重要な意味を持つ。現在のように、SECやCFTCが個別の解釈や執行を通じてルールを示す状況から、議会が定めた市場構造へ移行できる可能性があるためだ。一方、Reutersは法案が上院で停滞し、議会日程の残り時間も限られていると報じている。
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CLARITY Actで何が明確になるのか
CLARITY Actは、米国における暗号資産市場の連邦レベルの枠組みを設け、デジタル資産を米国法上どのように扱うかを定めることを目指す法案だ。
焦点となるのは、特定のトークンが主に証券として扱われるのか、それとも商品として扱われるのかという線引きである。前者は主にSEC、後者は主にCFTCの監督対象となる。
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法案が目指す主な内容は次の通りだ。
- デジタル資産の定義を整理する:トークンの種類や機能に応じた分類を明確にし、事業者や投資家が法的な位置付けを判断しやすくする。
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- SECとCFTCの役割を分ける:両機関の管轄をめぐる対立を残したままにせず、どの資産をどちらが監督するのかを整理する。
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- コンプライアンスの予見可能性を高める:取引所やトークン発行者が、変化する行政解釈だけに頼らず、議会制定法をもとに対応を判断できるようにする。
もっとも、最終的な効果は、議会がどの条文の法案を可決するかによって変わる。トランプ氏自身も「公正な内容の」法案を求めており、重要条項をめぐって議員と業界関係者の意見が一致していないことがうかがえる。
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なぜ上院で止まっているのか
CLARITY Actは暗号資産業界の最優先法案の一つでありながら、上院で足踏みしている。背景には、制度の細部をめぐる政策上の対立に加え、政府関係者がデジタル資産から利益を得ることを制限する倫理規定を盛り込むかどうかをめぐる意見の相違がある。
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この問題が注目を集めたのは、トランプ氏とその家族の暗号資産事業について、ミームコインなどを含む関連事業から14億ドルを超える収益を得たと報じられたためだ。
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反対派は、業界に影響を与える法案には、公職者が政府の影響力を利用して暗号資産関連事業から個人的な利益を得ることを防ぐ safeguards が必要だと主張している。
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ただし、現在確認できる報道から言えるのは、これらの事業が利益相反の懸念として法案の政治的議論を複雑にしたという点までだ。トランプ氏の政策判断が個人的な利益のために行われたことを示す証拠や、関連事業が世論に与えた影響を定量化する信頼できる世論調査は、提供された資料では確認できない。
会合に参加した人物
ホワイトハウスの会合には、政府の規制当局幹部と暗号資産・金融業界の有力経営者が参加した。確認済み、または直接報じられた参加者には、次の人物が含まれる。
- ポール・アトキンス氏:SEC委員長
- マイケル・セリグ氏:CFTC委員長
- ブライアン・アームストロング氏:Coinbase CEO
- タイラー・ウィンクルボス氏、キャメロン・ウィンクルボス氏:Gemini共同創業者
- アルジュン・セティ氏:Krakenを運営するPaywardの共同CEO
- ブラッド・テネフ氏:Robinhood CEO
- ジェフリー・スプレッチャー氏:NYSE会長、Intercontinental Exchange CEO
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Ripple、Nasdaq、CMEなども会合や招待者リストとの関連で報じられている。しかし、民間企業側の参加者全員を網羅した公式リストが確認できるわけではないため、これらの企業の関係者すべてを確定参加者とみなすことはできない。
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議会の停滞を受け、規制当局も動く
ホワイトハウスで法案成立を求める動きが出た一方、金融規制当局は議会の立法を待たず、既存の権限に基づく対応を進めている。Reutersによると、法案が停滞するなか、SECは新たな規則を検討し、SECとCFTCは政策上の空白の一部を自ら埋める準備を進めている。
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SECは8月18日、投資契約として販売される暗号資産について、証券法上の登録を免除する新たな資金調達ルートを提案した。提案には、スタートアップ向けと資金調達向けの二つの免除が含まれる。
また、SECとCFTCは暗号資産を、デジタル商品、デジタル・コレクティブル、デジタルツール、ステーブルコイン、デジタル証券の5カテゴリーに分類する枠組みを示している。
SECは暗号資産関連の規則案を検討する予定だった会合も、予期せぬスケジュール上の問題を理由に取り消した。この会合では、暗号資産スタートアップが資金を調達する際の規制上の免除が検討される見通しだった。
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行政機関による対応は、議会の法案を待つより短期的には早い。しかし、行政機関が作る規則は、将来の政権によって変更されたり、裁判所で争われたりする可能性がある。議会制定法の方が、より安定した制度的な基盤になりやすいという違いがある。
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トランプ氏の暗号資産事業が議論に与えた影響
トランプ氏と家族の暗号資産関連事業は、CLARITY Actをめぐる議論に特有の政治的な緊張を加えている。トランプ氏は業界が求めるルール変更を公に訴える一方、報道では、World Liberty Financialやトランプ氏のミームコインを含む家族の暗号資産事業から14億ドル超を得たとされている。
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支持者から見れば、誰がホワイトハウスにいるかにかかわらず、暗号資産業界に予測可能なルールを整備する必要性は変わらない。これに対して反対派は、政策を推進する当事者自身と家族が業界から大きな利益を得ている以上、倫理規定や利益相反対策こそ法案の中心に置くべきだとみる。
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この対立によって、規制の不確実性を減らすはずの法案自体が、透明性や公的信頼、そして新しいルールによって誰が利益を得るのかという問題に巻き込まれている。
まとめ
8月19日のホワイトハウス会合で、トランプ氏が議会に求めたのは、暗号資産の法的基盤を明確にするCLARITY Actを速やかに成立させることだった。法案は、トークンの定義を整理し、SECとCFTCの監督権限を分けることで、米国の暗号資産市場に包括的なルールを設けようとしている。
しかし、上院では制度設計や、政府関係者が暗号資産で利益を得ることを制限する倫理規定をめぐる対立が続いている。トランプ氏と家族の関連事業から14億ドル超の収益があったとの報道も、利益相反をめぐる懸念を強め、法案の政治的な進展を難しくしている。
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議会が動かない間、SECとCFTCは独自の規則や解釈によって暫定的な枠組みを作ろうとしている。短期的な指針にはなり得るが、将来の政権や裁判所の判断に左右されにくい、長期的で正統性のある制度を作れるかどうかは、最終的に議会の対応にかかっている。